「円の価値は2023年も“目減り”する一方…」まもなく到来する世界的好景気の波に乗る、有効な手段 ※画像はイメージです/PIXTA

2022年10月、円相場は1ドル=150円を突破し、32年ぶりの円安水準を更新。きたる物価高・円安・大増税時代には、円資産を持っているだけだと資産は熔けていくばかり……。いかにして資産を防衛し、運用していけばいいのか? 本連載は、世界最大の資産運用会社「ブラックロック」日本法人の最高投資責任者(CIO)の河野眞一氏と、3,000人以上をコンサルティングしてきた外資系プライベートバンカー長谷川建一氏の共著書『世界の富裕層が実践する投資の鉄則 誰も教えてくれなかった本当の国際分散投資 』(扶桑社)より、2023年からの投資の鉄則について解説します。

「長期」で「国際分散投資」が鉄則

今後も長期的なインフレや円安によって、日本円の価値はますます下がっていくでしょう。何もせずに手をこまぬいていると、資産の目減りを防ぐことができません。

 

日本の国力が下がり、円の価値が目減りしていくわけですから、国内の株式や債券だけに投資をするのは、リスクが高いと言わざるを得ません。適切なリスク管理のもと、これからは資産の一部を海外の株や債券などに投資してく必要があります。

 

OECD(経済開発協力機構)は、世界経済は2060年までに平均で3%程度の成長が続くと予想しています。日本は低成長が続く可能性が高い一方、世界経済は確実に成長していくということです。この長期的な世界の成長を自分の資産に反映させるためには、やはり長期的な投資が重要でしょう。

 

新型コロナウイルスが蔓延し、世界の主要都市でロックダウンが行われた2020年、世界経済はマイナス3.3%と、マイナス成長になりました。しかしその翌年は、主要国の大規模な財政出動と金融緩和によって、プラス5.7%とV字回復を達成。

 

1年、2年といった短い期間では、いい年もあれば悪い年もあります。そうした短期間での影響を減らし、世界経済の成長の恩恵を受けるには、長期かつ複数の国際的なアセット(資産)や金融商品に分散して投資する必要があります。

 

「長期」の「国際分散投資」が自分の資産を守り、増やしていくための最も重要なキーワード。このキーワードを念頭に置いた、適切なポートフォリオの構築を行う必要があります。

 

実際、私が所属していたブラックロックでも、「長期国際分散投資」をコンセプトに多くの金融商品の開発、運用を行っています。

「卵は一つのかごに盛るな」分散投資が必須の理由

そもそも、なぜ分散投資が必要なのでしょうか。リーマン・ショックが起きた直後、一部の投資家からは「分散投資なんて意味がない」という声が上がりました。相場が正常なときには、株と債券は反対の動きをする傾向があり、

 

●株が上がるときには債券が下がる

●株が下がるときには債券が上がる

 

となるのが一般的です。しかし、世界的な金融ショックのときには株も債券もすべて売られ、一斉に暴落してしまったのです。

 

このような事態を受け、「相場の暴落局面は5年、10年といったスパンで発生しているし、金融パニックが起こるとほとんどの金融商品が暴落してしまうから、分散投資をしても結局損をしてしまう」という声もありました。

 

そうはいっても、分散投資をせずに日本株だけに投資していたら、さらに大きな痛手を負っていたはずです。また、海外の資産に分散投資をせず、日本の資産だけに投資していたら、日本経済がつまずいたときに、すべてがダメになってしまいます。

 

「卵は一つのかごに盛るな」というよく知られた投資格言はその通りで、相互に補完するアセットに分散して投資をする「国際分散投資」がベターなのです。

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    株式会社エリュー代表取締役CEO 

    イギリスの大学で数学や計量経済学を学び、卒業後、第一證券(現・三菱UFJモルガン・スタンレー証券)に入社。先物やオプションなど派生商品のプライシングモデルの構築、株式ポートフォリオのIR最大化システムの開発などを手掛ける。
    その後、クレディ・リヨネ、JPモルガンに転籍。2000年から活動の場を投資銀行から運用業界に変更するためにメルリンチ・インベストメント・マネージャーズに入社し、リスク分析部や新商品開発部の統括責任者を務める。その後、2006年にメリルリンチ・インベストメント・マネジャーズを買収したブラックロック・ジャパンに移籍。ブラックロックにて、APAC(Asia Pacic)のリスク分析部の統括責任者としての職務を経て、ブラックロック・ジャパンの最高投資責任者(CIO=Chief Investment Ocer)に就任。
    現在は、地方経済活性化、中小企業の業務改善、企業のスタートアップ、及び投資・運用業務などに係る支援事業を手掛ける株式会社エリューを2016年4月に設立し、様々な地域や企業の革新をサポートしている。

    著者紹介

    連載2023年以降の世界経済を見据えた、投資の鉄則

    ※ 本連載は、河野眞一氏、長谷川建一氏の共著書『世界の富裕層が実践する投資の鉄則 誰も教えてくれなかった本当の国際分散投資』(扶桑社)から一部を抜粋し、再構成したものです

    世界の富裕層が実践する投資の鉄則 誰も教えてくれなかった本当の国際分散投資

    世界の富裕層が実践する投資の鉄則 誰も教えてくれなかった本当の国際分散投資

    河野 眞一、長谷川建一

    扶桑社

    2022年10月、円相場は1ドル=150円を突破し、32年ぶりの円安水準を更新。 なぜ世界中で物価高が起きているのか? なぜ円安が止まらないのか? きたる物価高・円安・大増税時代には、円資産を持っているだけだと資産は熔…

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