「長期」で「国際分散投資」が鉄則
今後も長期的なインフレや円安によって、日本円の価値はますます下がっていくでしょう。何もせずに手をこまぬいていると、資産の目減りを防ぐことができません。
日本の国力が下がり、円の価値が目減りしていくわけですから、国内の株式や債券だけに投資をするのは、リスクが高いと言わざるを得ません。適切なリスク管理のもと、これからは資産の一部を海外の株や債券などに投資してく必要があります。
OECD(経済開発協力機構)は、世界経済は2060年までに平均で3%程度の成長が続くと予想しています。日本は低成長が続く可能性が高い一方、世界経済は確実に成長していくということです。この長期的な世界の成長を自分の資産に反映させるためには、やはり長期的な投資が重要でしょう。
新型コロナウイルスが蔓延し、世界の主要都市でロックダウンが行われた2020年、世界経済はマイナス3.3%と、マイナス成長になりました。しかしその翌年は、主要国の大規模な財政出動と金融緩和によって、プラス5.7%とV字回復を達成。
1年、2年といった短い期間では、いい年もあれば悪い年もあります。そうした短期間での影響を減らし、世界経済の成長の恩恵を受けるには、長期かつ複数の国際的なアセット(資産)や金融商品に分散して投資する必要があります。
「長期」の「国際分散投資」が自分の資産を守り、増やしていくための最も重要なキーワード。このキーワードを念頭に置いた、適切なポートフォリオの構築を行う必要があります。
実際、私が所属していたブラックロックでも、「長期国際分散投資」をコンセプトに多くの金融商品の開発、運用を行っています。
「卵は一つのかごに盛るな」分散投資が必須の理由
そもそも、なぜ分散投資が必要なのでしょうか。リーマン・ショックが起きた直後、一部の投資家からは「分散投資なんて意味がない」という声が上がりました。相場が正常なときには、株と債券は反対の動きをする傾向があり、
●株が上がるときには債券が下がる
●株が下がるときには債券が上がる
となるのが一般的です。しかし、世界的な金融ショックのときには株も債券もすべて売られ、一斉に暴落してしまったのです。
このような事態を受け、「相場の暴落局面は5年、10年といったスパンで発生しているし、金融パニックが起こるとほとんどの金融商品が暴落してしまうから、分散投資をしても結局損をしてしまう」という声もありました。
そうはいっても、分散投資をせずに日本株だけに投資していたら、さらに大きな痛手を負っていたはずです。また、海外の資産に分散投資をせず、日本の資産だけに投資していたら、日本経済がつまずいたときに、すべてがダメになってしまいます。
「卵は一つのかごに盛るな」というよく知られた投資格言はその通りで、相互に補完するアセットに分散して投資をする「国際分散投資」がベターなのです。