※画像はイメージです/PIXTA

2022年10月、円相場は1ドル=150円を突破し、32年ぶりの円安水準を更新。きたる物価高・円安・大増税時代には、円資産を持っているだけだと資産は熔けていくばかり……。いかにして資産を防衛し、運用していけばいいのか? 本連載は、世界最大の資産運用会社「ブラックロック」日本法人の最高投資責任者(CIO)の河野眞一氏と、3000人以上の富裕層をコンサルティングしてきた外資系プライベートバンカー長谷川建一氏の著書『世界の富裕層が実践する投資の鉄則 誰も教えてくれなかった本当の国際分散投資 』(扶桑社)を一部抜粋・編集したものです。

円資産:ドル資産=1:1のポートフォリオが強いワケ

円資産の一部を海外資産で運用すると、どのようにパフォーマンスが上がるのでしょうか。具体的に分散投資の事例を考えてみましょう。

 

仮に今、評価額5億円(1ドル=130円で換算し、384万ドル)の不動産を所有する人がいたとします。

 

日本の場合、収益物件の年間投資収益は平均3.0%ですから、この物件を10年間運用し続けると、資産総額は6.72億円に増える計算です。

 

ところが、この不動産の半分を売却して1ドル=130円のレートでドルに換えると、その額は190万ドル。これを年間収益率6%の海外ドル建て投資を始めたとしましょう。

 

この場合、円資産:ドル資産=1:1のポートフォリオとなりますが、10年間運用した結果、不動産投資の資産は3.36億円、ドル建て投資は343万ドル(4.45億円)となり、両方を合わせた資産は7.81億円にもなります。

 

このように、国内不動産のままだと大きく伸びなかった資産が、国内不動産と国外金融資産に組み替えることで、より高いパフォーマンスが実現できることになるわけです。

1:1は為替レートの変動によるリスクも低め

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10年後には為替レートが大きく変動している可能性はあります。それでも、円資産のみで運用するより、円資産の一部を海外資産で運用したほうがパフォーマンスは高くなります。

1ドル=130円から円高になった場合

円高が進行し、1ドル=130円から125円に円高になったとします。円資産のみで10年運用すると6.72億円だったのに対して、

 

●円資産2.5億円→10年後に3.36億円

●ドル資産190万ドル→10年後に343万ドル=4.29億円

 

で、国際分散投資だと合わせて7.65億円になります。1ドル=130円のときよりは円高が進行した分、円換算するとパフォーマンスは下がりますが、円資産だけで運用するより1億円近くも上回ることになります。

 

では、もっと円高が進行し1ドル=100円になったとします。この場合でも、

 

●円資産2.5億円→10年後に3.36億円

●ドル資産190万ドル→10年後に343万ドル=3.43億円

 

で、合わせて6.79億円になります。

 

30円も円高・ドル安に動くとドル資産は不利なのではと思いがちですが、実際にはそうではないことがわかります。ドルベースで高い運用ができれば、大幅に円高に振れても不利になることはありません。

次ページ円安になった場合ドル資産はどうなる?

※ 本連載は、河野眞一氏、長谷川建一氏の共著書『世界の富裕層が実践する投資の鉄則 誰も教えてくれなかった本当の国際分散投資』(扶桑社)から一部を抜粋し、再構成したものです

世界の富裕層が実践する投資の鉄則 誰も教えてくれなかった本当の国際分散投資

世界の富裕層が実践する投資の鉄則 誰も教えてくれなかった本当の国際分散投資

河野 眞一、長谷川建一

扶桑社

2022年10月、円相場は1ドル=150円を突破し、32年ぶりの円安水準を更新。 なぜ世界中で物価高が起きているのか? なぜ円安が止まらないのか? きたる物価高・円安・大増税時代には、円資産を持っているだけだと資産は熔…

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