2022年、約24年ぶりの円安・ドル高水準を記録
2022年9月22日、ニューヨーク外国為替市場では、円が米ドルに対して下落し、一時1ドル=145円90銭と、1998年8月以来、約24年ぶりの円安・ドル高水準を記録。政府・日銀は円買い・ドル売りの為替介入を実施しました。
(その後、2022年10月21日に円は一時1ドル=150円20銭台まで下落)
1998年当時の日本といえば、山一證券(1997年)や日本長期信用銀行、日本債券信用銀行の破綻(1998年)など、大手金融機関の経営破綻が相次いだころです。バブル崩壊後の不況が本格化するなか、物価も下落し、デフレへの懸念が高まって株安と円安が同時に進行しました。日本経済に対する悲観的な見方が引き起こした円安と株安でした。
一方、わずか半年で約20円と、異例の速さで進展した2022年上半期のドル/円相場。ロシアのウクライナ侵攻による資源価格の高騰と円安のダブルパンチは、日本国民の生活に深刻な影響を及ぼしています。
衣食住にまつわるコストは軒並み値上げラッシュに見舞われ、電気.ガスのエネルギーに至っては値上げどころか首都圏では供給が追いつかず、節電.節ガスまで始まりました。
なぜ、円安がここまで進行したのでしょうか。メディアでも報じられている通り、日米の金利差拡大が大きな理由の一つです。
日米の金利差を拡大した「深刻なインフレ」の根本原因
米国は2021年11月にテーパリング(量的緩和の縮小)を開始、2022年3月以降は5度にわたって政策金利を引き上げました。これに伴い、日米金利差に目をつけたドル買いが進行したのです。
米国が利上げを急ぐのは、深刻なインフレに直面しているからにほかなりません。FRB(米連邦準備制度理事会)も政策金利をゼロに引き下げ、量的緩和政策を実施し、経済が停滞しないように努めました。ところが、市中に大量の資金が流れ込んだことで需給ギャップが大きくなり、過度なインフレを招くこととなってしまいました。
ガソリン価格は高騰、食品価格も上昇し、米国民の生活に影を落としています。FRBとしては、経済に多少のマイナス面があったとしてもインフレ率を抑えるのは喫緊の課題であり、今後も金利の引き上げは既定路線となっています。
ただし、金利上昇がどこで止まるかは誰にもわかりません。おそらく景気にとってアクセルもブレーキも踏んでいない中立金利の状態に戻るまでは、金利の引き上げを継続するはずです。