朝食は摂るべきか、摂らない方がいいか
【実践編】
■「朝食論争」はどうでもいい
減量を意識すると、最初に直面するのが朝食だ。これをどうするか……。
朝食は摂るべきなのか、摂らない方がいいのか。両者の言い分をまとめるとだいたい以下のようになる。
▶「朝食食べる派」
・寝ている間にブドウ糖を使い切った状態ではエネルギー不足になる
・空腹状態で昼を食べると血糖値の変動が大きくなり、過食に走りやすい
・食事をすることで「体内時計」がリセットされる
・食べないと自律神経のバランスが崩れやすい
・筋肉のグリコーゲンが不足して筋肉量が減少しやすい(これは、しばしばボディビルダーたちも恐れるので朝を抜かない理由になる)
▶「朝食食べない派」
・1日トータルの摂取カロリーが結果的には減る
・内臓が休む時間が長くなる(年寄りには意外にこれ、大事だと思うけど)
・サーチュイン遺伝子(長寿遺伝子)が空腹によって活性化される
・そもそも1日3回食べるようになったのはごく最近の習慣
正解がないのなら、自分にとってどちらのメリットが大きいのか選べばいいだけだと思う。私の場合はかなりいい加減で、朝は固形物を摂らないがBCAAやEAAを摂ったり、低脂肪乳とプロテインは飲んだりする。
そうやって少しタンパク質を入れておいた方が、昼食後の血糖値の上昇が抑えられる気がするからだ。これをセカンドミール効果という。要は分食だ。
ちなみに、コンテストビルダーは1日3食どころか5食に分けたりする。血糖値の上昇を防ぐという意味では理想的だと思う。
ただし、極端な場合は筋肉内の窒素バランスをプラスに保ち筋合成を高めるために2、3時間おきにプロテインを摂取したりする(夜中も起きて飲むと言うが本当かね)。確かに筋肉のためにはいいかもしれないが、人の体は筋肉だけでできているわけではない。
睡眠不足は筋合成を阻害すると言われているから、やめておいた方がいい。私の場合は、基本的には「排泄の時間」=朝4時〜12時。「摂取の時間」=12時〜20時。「吸収の時間」=夜20時〜朝4時。という「サーカディアンリズム」という考え方をベースにするのが合っている気がする。
■ボディビルダーが糖質制限をしない理由
「糖質制限」は一時的ブームを超えて、世間的にはかなり定着している。ただし、糖質さえ摂らなければなんでもOKというのはあまりに雑だし、偏っていないか。
糖尿病ならともかく、糖質は万病の元とまで言われると、そりゃいくらなんでも言い過ぎではないかと思ってしまう。しかも「糖質制限」か「カロリー制限」か。毎度どちらもエビデンスをかざして正当性を訴えて、素人には正直判断がつかない。わからないものは経験に頼るのがとりあえずはいちばんだ。
ボティビルダーは基本「カロリー制限」で「糖質制限」はあまりやらない。素人なりに自分が経験してみるとわかる。1日の糖質摂取量を100g以下に落とすと、明らかにバーベルの使用重量が落ちる。重量もだが、仮に1セットで10回上げるとすると、7回目くらいから気力も萎える。
もう少し頑張ろうという踏ん張りがきかなくなる。筋肉も脳も完全にエネルギー切れだ。心肺機能の回復も遅く、スクワットなどの場合だとラックに戻したバーベルのシャフトに額をあずけ「ゼェゼェ」と荒い呼吸が止まらない。減量期だと体重の減少に伴って筋量も落ちているから、いっそう苦しくなる。
「脳は糖質がなくても働く」とか「運動時のエネルギーは糖質ではなく、脂質からも補給される」というが、やはり体感としては脳も筋肉も糖質を欲している気がする。糖質の方がエネルギーとして素早く筋肉に運ばれることも、糖質有用説を採りたい理由だ。