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不動産小口化商品は相続対策もできる
■不動産小口化商品とは
近年、注目されている「不動産小口化商品」とは、「不動産特定共同事業法(不特法)」に基づき運営されている小口化商品のことで、一口数万~1000万円程度に小口化された特定の不動産に投資し、不動産の賃料収入や売却益を投資額に応じて出資者に分配する商品です。投資家にとっては少額から不動産投資が始められるメリットがあり、人気が高まっています。
不動産の小口投資ではREIT(不動産投資信託)や不動産クラウドファンディングなどがありますが、不動産小口化商品は現物不動産の保有者になる商品もあるため、相続対策としても注目されています。
また、不特法に基づき、国土交通大臣もしくは都道府県知事の認可を受けた事業者だけが行うため、投資家にとっては安心感もあります。
■不動産小口化商品の種類
不動産小口化商品は、事業主体により「匿名組合型」と「任意組合型」の2種類があります。「匿名組合型」の不動産小口化商品は、投資家と事業者との相互関係を定めた匿名組合契約に基づき、事業者が事業主体となります。投資家は金銭で出資し、事業者は事業によって得た利益を投資家に分配します。投資家と事業者の関係は基本的に金銭のやり取りだけです。
「任意組合型」の不動産小口化商品は、出資した投資家が共同で事業主体となり、事業を行うというものです。共同事業によって得た利益は、出資した投資家に分配されます。また任意組合型は相続対策として活用できるという特徴があります。
他の不動産投資とは何が違うのか
■一般的な現物不動産投資との違い
一般的な不動産投資では、アパート・マンションの1棟丸ごとや、マンションの1室を購入して賃貸事業を行う現物不動産投資が代表的です。購入した収益不動産からの賃料収入や将来値上がりしたときの売却益を目的としています。自分が所有する不動産ですから、管理方法や売却のタイミングなどは自由に決められます。ただ、マンション1棟などの大型不動産を購入するには多額の資金が必要になります。
入居率の低下や賃料下落による収益の変動、借入金利の上昇によるローン返済負担額の増加などでローン返済が滞ったり、保有不動産の価格低下により売却損が生じるリスクがあります。
また、相続での節税対策として不動産投資を行うケースが多くみられますが、現物不動産は分割しにくいため、遺産分割手続きでトラブルの原因になる可能性があります。
一般的な不動産投資はこれらのリスクマネジメントが必要になるため、投資初心者や少額で投資を始めたい人にとってはハードルが高い不動産投資と言えるでしょう。
■REIT(不動産投資信託)との違い
REITは投資信託の一種で、不動産投資法人が投資家から集めた資金でオフィスビルや商業施設、マンションなどの不動産を購入し、賃貸収入や売却益を投資家に分配する金融商品です。投資家は現物不動産を購入するのではなく、証券取引所を通して投資信託の証券を売買します。そのため流動性が高く、投資家の好きなタイミングで売買することができます。最低投資金額は数万円~数十万円です。運用はプロが行うため、初心者でも比較的始めやすいメリットがあります。
一方で、REITは不動産市況や金利の影響で、賃料下落による分配金の変動や証券価格の下落のリスクがあります。また、大きなデメリットとして、現物の不動産を自分で選んで投資することができないため、リスクコントロールが難しいことがあげられます。