ハンセン指数 21,436.05 pt (+0.49%)
中国本土株指数 7,310.92 pt (+0.65%)
レッドチップ指数 3,917.91 pt (+0.17%)
売買代金1,658億5百万HK$(前日1,313億6百万HK$)
マーケットと米金融当局の見通しにギャップ
米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は10日、スウェーデンのストックホルムで講演した。地区連銀総裁からは、タカ派色の濃い発言が相次ぐなかで、パウエル議長の発言が注目されたが、金融政策に関して直接的なものはなかった。市場参加者の関心は12日に発表予定の米消費者物価指数(CPI)に移っている。
マーケットでは今年の6月までに政策金利をピークに付け、年後半からは低下し始めることを織り込んでいる。しかし、金融当局者からの発言は、政策金利が5%を超えることや、その水準で当面、高止まりすることを示唆している。市場と当局者の間における見通しのギャップは、今後の市場の変動を大きくするだろう。
先週6日に発表された昨年12月の米雇用統計は、雇用市場の堅調さを改めて示す結果とみるべきではないか。この状態が続けば、FRBはタカ派姿勢を変えられないだろう。パウエル議長は「金融政策の独立性は重要であり、短期的には不人気な措置が必要になる」と述べており、マーケットと米金融当局の乖離が不安視される。
外国為替市場では米ドルが主要通貨に対して7ヵ月ぶりの安値水準まで売り込まれた。それだけ、金融引締めが強化されることへの懐疑的な見方が強いという事でもあろう。米国経済指標が、このところ市場予想を下回り始めており、景気減速観測が強まっていることが、金利の先高観を弱めている。
香港ハンセン指数は反発
11日の香港市場は前日の米株高を受けて、ハンセン指数が一時1.6%高と半年ぶりの高値を付けた。しかし、引けにかけては高値追いの勢いを失い失速。前日比0.49%高で取引を終えた。
為替市場でも急速な人民元高が連日で進行していたが、11日は小幅レンジでの取引となった。12日発表の米国消費者物価指数を見極めたいとして様子見を決め込む参加者が多い。
香港株式市場では、厳しい冬を迎えるなか需要増が見込まれ、エネルギー関連株が上昇した。モンゴル炭鉱のモンゴリアン・マイニング(0975)は10.5%高、石炭採掘の兗礦能源(1171)は9.0%高、中煤能源(1898)は4.8%高、中国神華能源(1088)は4.7%高だった。
主要銘柄も堅調となり自動車メーカーの比亜迪(1211)は4.7%高、保険大手の中国平安保険(2318)は3.5%高、Eコマースのアリババ(9988)は3.1%高、インターネットサービスのテンセント(0700)は3.1%高となった。
一方、ハイテク株で構成されるハンセンテック指数は同0.25%安と続落。オンライン医療サービスの京東健康(6618)は3.6%安、高性能データセンター開発の万国数拠(9698)は3.2%安、阿里健康(0241)は2.6%安と下げた。
中国本土株市場は上海総合指数は前日比0.24%安の3,161.84、CSI300は同0.19%安の4,010.03と8日ぶりに反落した。中国でも、12日に物価統計、13日に貿易統計の発表を控えており、積極的な売買は手控えられた。
長谷川 建一
Wells Global Asset Management Limited, CEO/国際金融ストラテジスト<在香港>