(※写真はイメージです/PIXTA)

個人間での金銭貸借や慰謝料の支払い、取引先からの売掛金など、相手方と約束したお金が返ってこないときは、相手の資産の差押え(強制執行)を検討する形になります。しかし、相手の資産を法律上の手続を経ずに、強制的に奪うことはできないため(自力救済の禁止)、適切な手続きを踏む必要があります。そこで実際にココナラ法律相談のオンライン無料法律相談サービス「法律Q&A」によせられた質問をもとに、給与の差押えについて加藤良丞弁護士に解説していただきました。

裁判で決まったのに…

相談者のふんかさん(仮名)は、知人に150万円を貸しましたが、長期間返済されないことから、裁判手続きを進め、債務名義を取りました。

 

相手方とは「毎月3万円ずつ支払う」という内容で和解したのですが、結果として1回目から振込みも連絡もないため、ふんかさんは差し押さえを考えています。

 

しかし相手名義の不動産などお金に換えられるものはなく、給料しか差し押さえができないと思われます。

 

ふんかさんは相手方の給料の支払い元が不明なこともあり、手続きの進め方がわからず、ココナラ法律相談「法律Q&A」に相談しました。

勤務先の調査の必要性とその方法

勤務先の調査の必要性

ご相談者様が差押えを行うためには、差押えの対象となる知人(以下、「債務者」といいます)の財産を差押え可能な程度に特定しなければなりません。

 

よって、ご相談者様が、債務者の給料を差し押さえるためには、債務者がどこから給料を得ているのか、特定しなければなりません。

 

財産開示手続

本件のように金銭債権に関する「債務名義」(典型例は「判決」です。今回は裁判で和解していますが、その際に作成される「和解調書」も含まれます)を有している場合には、その他の一定の要件を満たせば、財産開示手続を申し立てることができます。

 

これは債務者自身にその財産を開示させる手続となります。

 

具体的には、裁判所が「財産開示期日」を指定し、「財産目録」提出期限を指定した上で、債務者を裁判所に呼び出すことになります。

 

「財産開示期日」当日は、事前に開示された「財産目録」に沿って、その内容を確認していくことになります。そして、「財産目録」の中には「給与・棒給・役員報酬・退職金目録」があり、そこに勤務先を回答する欄が設けられています。

 

よって、債務者から回答がなされれば、ご相談者様は給料債権の差押えを行うことができるようになります。

 

なお、「財産目録」には、「生命保険」「自動車」「株式」等の有無や内容についても記載しなければならないため、この手続をとることにより、債務者の新たな財産が発見される可能性もあります。

 

一方、債務者が「財産開示期日」に出頭しない場合、6ヵ月以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金が科されます。

 

そして、最近、「財産開示期日」の不出頭を理由に、検察審査会(検察審査会とは、選挙権を有する国民の中から選ばれた検察審査員が、検察官が不起訴とした事件の是非を審査する機関のことをいいます)が起訴相当と判断したケースも報道されました。

 

この罰則により、財産開示手続の実効性が担保されることになります。

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