不貞行為を繰り返す夫。しかし離婚は拒否したい
相談者のMさん(女性・仮名)は、長年夫がマッチングアプリで出会った不特定多数の女性と不貞行為を繰り返しており、嫌気が差しています。
夫は会社を経営しており、Mさんはその会社の取締役を務めています。複数の店舗を抱え、収益もある程度安定しているため、夫は仕事をスタッフに任せることも多く、昼間から女性とホテルで過ごしています。
夫は気に入った女性に対して月に数十万円渡し、おねだりされた時には100万単位でお金を渡しています。現在も数人の女性と交際しているようです。
このような夫の女性関係には目に余るものがあり、耐えかねたMさんは夫の両親に相談し、事が公になりました。
夫は離婚を考えていますが、Mさんは子育てや生活があるため、今すぐには離婚に応じないつもりです。
夫は仕事関係者やスタッフに対して「不貞は自分が悪いが、妻がそれ以上に酷い仕打ちをしてくる。耐えかねて離婚せざるを得ない」と言い、外堀から固めてMさんを窮地に追い込もうとしています。
しかし、そのほとんどが嘘で、夫の都合のいいように書き換えています。
夫とは数年前から子どもの進学で別居し、週末だけ家に来ていましたが、不貞行為が公になってからは来なくなりました。
また夫は自分に関わること以外にお金を使いたくないという考えが強く、もし離婚になった場合、財産分与の対象となる財産を隠す可能性があります。
そこで、Mさんはココナラ法律相談「法律Q&A」に次の2点について相談しました。
1.夫から離婚を迫られた際、どこまで拒否できるのか。
2.財産分与の際に財産隠しをされた場合、見つける方法はあるか。
不貞をしていた夫からの離婚請求への対応
1.不貞をした夫からの離婚請求は拒むことができる
離婚に関する制度上、夫婦の一方が話し合いによる離婚に一切応じない場合、離婚をするためには調停を経たうえで裁判によって離婚を請求するしかありません。
つまり、不貞をしていた夫から離婚するように求められても、こちらが離婚することを拒み続ければ、夫は、裁判で離婚を請求するしか離婚をする方法がなくなります。
そして、裁判所は、不貞をしていた夫が裁判で離婚を請求しても、原則として離婚を認めません。
裁判所は、例外的に次のような要素がある場合に、不貞をしていた夫からの離婚請求を認めます。
①夫婦の別居が相当長期間に及んでいる
②夫婦の間に未成熟の子が存在しない
③離婚請求を認めることが著しく社会正義に反する事情がない
そうすると、別居が相当長期間に及び、子が社会人になるときまでは、不貞をしていた夫からの離婚を拒むことができます。
なお、別居が相当長期間に及んでいるというのは、どの程度の期間をいうのかについては、本記事の最後に再度詳細にご説明しますので、そちらもご参照ください。
また、離婚が成立してしまうまでの間は、婚姻費用を請求できる場合があります。