(※写真はイメージです/PIXTA)

料理はとても認知機能を使う仕事です。配偶者がいる男性は妻だけにその究極の認知症予防をさせていてはもったいない。厨房に参戦して自分の食生活を見直してみましょう。老人医療に詳しい精神科医の和田秀樹氏が著書『80歳の超え方 老いは怖くないが、面倒くさい』(廣済堂出版)で解説します。

料理は究極の認知症予防になる

■食習慣を見直す――献立を考えることは認知症予防になる

 

この連載では、自分の老いを「あきらめて、受け入れて」、ラクに生きようよと伝えたいのですが、老いたことを認めてすべてをあきらめることではありません。

 

さんざん言っていますが、放っておけば人間の機能は落ちていきます。これだけは、自分でなんとかするしかありません。子どもがいても配偶者いても、役に立ちません。自分の体調や状態、身体の痛みがわかるのは自分だけです。

 

70代からは、より敏感に自分の身体の声を聞いていく必要があります。

 

そして、身体の調子を整えるのは、やはり食べることでしょう。自分なりの健康法を持つのはいいことですが、基本は食事であると私は思っています。

 

世間にはたくさんの食に関する健康法があります。毎年、新しい健康法が出てきて、「納豆がいい」となれば、スーパーの棚から納豆が消えたりします。高齢者は紅茶キノコを覚えていますね。酢玉葱、朝バナナ、少し前まではスムージー、野菜スープも流行っています。

 

どれも、ある一定程度は効果があるのでしょう。でも、人間は飽きっぽい動物でもあります。毎日同じものを食べると飽きます。

 

また、世の中には「朝ご飯は食べたほうがいい」「朝ご飯抜きの2食がいい」等の情報があふれています。それを決めるのはテレビや本の情報ではなく、あなたの身体です。

 

夕食を食べ過ぎたら朝食を軽くする、三度三度腹八分目に食べることがいちばん調子がいい、朝はたくさん食べて夜は小食にしたほうが調子がいい等、人それぞれの食事の量やリズムがあります。

 

まずは、自分の身体に聞いてみましょう。どういうリズムがいいのか、どのくらいの量がいいのか、あるいは便秘にならないようにする食べ方などがあるはずです。

 

以前、一日に30品目とらないといけないと推奨されたことがありました。そんなことを考えていたら料理するのが面倒になりますね。

 

足りない成分があったら、サプリメントで補うのもいいと思います。

 

まず何より、日本の高齢者に不足しているのはたんぱく質です。このことはあとで解説しますが、たんぱく質がしっかりとれる食事を考えていきたいです。

 

老後こそ、自分の好きなものが食べられるのです。自分で献立を考え、そろえていくことはおおいに認知症予防になると思います。

 

前に、若い男子学生に向けての「家事力、炊事力をつけろ」という新聞記事を読んだことがあります。詳細は忘れましたが、コンビニ弁当を買うより、ご飯を炊いて野菜炒めをつくったほうが、長期的には経済的で安心できるものです(ただし、材料の品目が少なくなりがちなので高齢者には要注意ですが)。

 

若い人はコンビニ弁当では足りなくて、カップ麺や菓子パン等を一緒に買い込んだりします。これではよけいな出費になります。自分で米を炊き、どんぶり飯を食べ、納豆と具沢山味噌汁があれば腹いっぱいになります。

 

これはやってみると面白いものです。料理は習慣なのかもしれません。

 

これからの時代を乗り切るには、家事力が大事だとその新聞に書いてありました。

 

これは若い人だけでなく、高齢者にも必要な要素です。

 

配偶者がいる男性も、いつまで妻が元気でいるかわかりません。

 

料理というのは、とても認知機能を使う仕事なのです。妻だけにその究極の認知症予防をさせていてはもったいない。あなたが男性なら、妻に邪魔にされるかもしれませんが、厨房に参戦して自分の食生活を見直してみましょう。

 

和田 秀樹
和田秀樹こころと体のクリニック 院長

 

 

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    本連載は和田秀樹氏の著書『80歳の超え方 老いは怖くないが、面倒くさい』(廣済堂出版)より一部を抜粋し、再編集したものです。

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