(※写真はイメージです/PIXTA)

資格を取得して転職による年収アップを図れるのは、同じ職種で働いて中小企業から大企業へ転職できたケースです。それ以外は、現状維持か年収ダウンのほうが多いといいます。46歳で社労士試験に挑戦し、50代から実務を経験した佐藤敦規氏が著書『45歳以上の「普通のサラリーマン」が何が起きても70歳まで稼ぎ続けられる方法』(日本能率協会マネジメントセンター)で解説します。

資格で貧乏になる人、年収アップする人

■資格を転職に効果的に使う方法

 

資格を取ると貧乏になるという主張がかつてあったように、以前は資格を取得するとかえって転職する際に不利になるという言説が流行っていました。中小企業診断士を持っていると頭でっかちで行動が伴わない、社会保険労務士を持っていると労働法にうるさい危険人物、その他、資格マニアで目の前の仕事を疎かにしているなどなどです。

 

しかし、今はこうした風潮は弱まっていると思われます。

 

一人あたり生産性をアップすることが緊急の課題とされている昨今、職場の空気を読んで会社に忠誠を尽くすようなステレオタイプのビジネスパーソンばかりでは、企業の発展に限界がきていることが分かってきたからです。

 

■年収ダウンもある程度受け入れる

 

とはいえ、本連載で紹介した資格を取得すれば、大幅な年収アップが期待できるかというと、そこまでは甘くありません。

 

特に営業部門で働いていた人が総務部門に異動するなど、今までと異なった仕事に就くような場合は、年収が今までよりもダウンすることを覚悟したほうがよいでしょう。

 

転職による年収アップを図れるのは、同じ職種で働いて中小企業から大企業へ転職できたケースが大半。それ以外は、現状維持か年収ダウンのほうが多いです。実際、私も社会保険労務士法人で働き始めたとき、以前の職種よりも年収が下がりました。

 

また総務部で働いていた人が、社会保険労務士試験に合格したあと、同じ総務の仕事を探すというような状況であっても年収アップが期待できないケースもあります。

 

まだまだ日本企業では、年功序列の給料体系を取っている会社もあり、中途で入社すると不利となります。さらに士業事務所の給料も決して高いとはいえません。

 

ただ70歳まで働くことを視野に入れるのであれば、一時的に年収が下がるのを受け入れるのもアリだと考えています。経験を積むことができる上、いきなり独立をするという勝負をかけるよりは、リスクを軽減できるからです。今の年収以上に固執するとなかなか決まらない恐れがあります。見習いや修業ととらえてみるのもアリでしょう。

 

■ベンチャーや外資は長期で働けないことも覚悟する

 

一定の実務経験があることが前提ですが、大企業以外にもベンチャー企業や外資系企業などであれば、大幅な年収アップを期待できることもあります。

 

総務部の万年係長だった人が、人事部のマネージャーになる、計画から入社手続きまで採用に関する一切を任されるなど仕事の内容も権限があるものに変化します。社長や日本地区代表者の右腕として、四六時中、行動を共にするケースもでてくるでしょう。

 

収入の面だけでなく、仕事上の面でも非常にやりがいを感じるでしょうが、長年勤務するのは難しい面もあります。ベンチャー企業の社長は個性が強い人が多いですし、外資系企業は本社の方針などにより左右され、事業展開が変わるからです。

 

私が付き合いのあるベンチャー企業も2~3年で担当者が入れ替わっている印象があります。安定性には欠けますが、独立などのキャリアを見据えるのであれば、挑戦したほうがよいと考えています。実際に働いた経験があれば、顧問先になった場合、実情が分かるため、よい関係を築いていけるからです。

 

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本連載は佐藤敦規氏の著書『45歳以上の「普通のサラリーマン」が何が起きても70歳まで稼ぎ続けられる方法』(日本能率協会マネジメントセンター)より一部を抜粋し、再編集したものです。

45歳以上の「普通のサラリーマン」が何が起きても70歳まで稼ぎ続けられる方法

45歳以上の「普通のサラリーマン」が何が起きても70歳まで稼ぎ続けられる方法

佐藤 敦規

日本能率協会マネジメントセンター

早期退職やリストラという言葉を聞いて、ギクリとした人も多いのではないでしょうか。リストラというと業績が悪い企業が実施するものでしたが、昨今では、高収益を挙げた企業が、さらなる発展を目指すため行うケースもあります…

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