プーチンに経済制裁ができて、習近平にはできない本当の理由 (※写真はイメージです/PIXTA)

中国のGDPはロシアの10倍、米国の7割に達します。世界第2位のGDP超大国の中国が大規模な金融制裁を受けると、国際金融不安を誘発しかねません。ジャーナリストの田村秀男氏が著書『日本経済は再生できるか 「豊かな暮らし」を取り戻す最後の処方箋』(ワニブックスPLUS新書)で解説します。

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習近平政権には悪夢の「資本逃避」

■中国を悩ます外貨難

 

中国からの資本逃避年間額と対外金融負債および外貨準備の前年比増減額です(グラフ2―⑤)。厳しい資本流出入規制を課している中国の場合、当局が把握できないカネの流れが「誤差脱漏」として国際収支統計に計上され、事実上の資本逃避と見なされます。

 

それは誤差にしては巨大で、2020年と2021年は経常収支黒字の5割相当を超えました。不足する外貨は対外債務を増やして賄うことになりますが、2021年の場合、債務増加3458億ドルと経常収支黒字3173億ドルを合わせて6630億ドルの外貨がはいってきても、外準は170億ドルしか増えていません。差し引いた6461億ドルのうち、統計上補足される対外投資4452億ドルを除く分が資本逃避となります。

 

出典)田村秀男著『日本経済は再生できるか 「豊かな暮らし」を取り戻す最後の処方箋』(ワニブックス【PLUS】新書)より。
出典)田村秀男著『日本経済は再生できるか 「豊かな暮らし」を取り戻す最後の処方箋』(ワニブックス【PLUS】新書)より。

 

中国は対外債務を増やさないことには、外準を増やせず、ドルを裏付けにした人民元資金を追加発行できません。巨大経済圏構想「一帯一路」に代表される対外膨張政策も推進できなくなるのです。

 

しかも、中国景気を牽引してきた住宅開発投資は不振を続けているうえに、新型コロナ変異株、オミクロンの感染拡大のために巨大都市上海などで都市封鎖が相次ぎ、2022年夏現在も絶えることがないでしょう。

 

景気テコ入れのためには財政支出拡大とそれを支えるための金融量的拡大が欠かせませんが、中国人民銀行は資金発行量を2022年6月時点でも前年比2パーセント台に押さえ込んだままなのです。

 

外貨難を加速するのが、ロシアによるウクライナ侵攻と米金利引き上げです。バイデン政権は中国が対ロ支援をすれば金融制裁するかもしれません。外国企業や金融機関がその中国に投融資すれば、巻き添えを食らいかねないというわけで、米国などの投資家は債券など対中証券投資の引き揚げに転じたのです。

 

ワシントンの国際金融協会(IIF)によると、2022年2月は外国勢が中国市場から債券112億ドル、株式63億ドルを売り越し、ウクライナ侵攻以来、中国から投資マネーが「前例のない」規模で引き上げられていると評しました。

 

米利上げは2022年3月に始まりましたが、FRBのパウエル議長は年内を通じて利上げを続けます。しかも、米国債金利の上昇を受けて、米中金利差は4月中旬に逆転しています。中国は国債金利を米国債よりも1パーセント以上高くして海外投資家を引き付けてきましたが、10年物国債金利は米国債が中国債を抜き去ったのです。

 

代表的なドル資産の金利が人民元建て国債金利よりも高ければ、海外の投資家はもとより、中国の資産家も香港経由で米国債に投資するでしょう。中国から外資の大潮が引いていきます。

 

高水準の資本逃避が続いたのは2015年から2018年にかけての期間で、習近平政権には悪夢でした。米利上げのために金利差が縮小するなかで資本逃避が激しくなったのです。

 

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    産経新聞特別記者、編集委員兼論説委員

    1946年高知県生まれ。70年早稲田大学政治経済学部経済学科卒後、日本経済新聞入社。ワシントン特派員、経済部次長・編集委員、米アジア財団(サンフランシスコ)上級フェロー、香港支局長、東京本社編集委員、日本経済研究センター欧米研究会座長(兼任)を経て、2006年に産経新聞社に移籍、現在に至る。主な著書に『日経新聞の真実』(光文社新書)、『人民元・ドル・円』(岩波新書)、『経済で読む「日・米・中」関係』(扶桑社新書)、『検証 米中貿易戦争』(マガジンランド)、『日本再興』(ワニブックス)がある。近著に『「経済成長」とは何か?日本人の給料が25年上がらない理由』(ワニブックスPLUS新書)がある。

    著者紹介

    連載「物価だけが上がり給料は上がらない」最悪の未来は続くか

    本連載は田村秀男氏の著書『日本経済は再生できるか 「豊かな暮らし」を取り戻す最後の処方箋』(ワニブックスPLUS新書)より一部を抜粋し、再編集したものです。

    日本経済は再生できるか

    日本経済は再生できるか

    田村 秀男

    ワニブックス

    今覚醒しないと日本経済の未来はない! 「物価だけが上がって給料は上がらない社会」からどうすれば脱却できるのか、ロシア・ウクライナ戦争をきっかけにして見えた状況を分析。政治・企業・マスメディアが今変わらなくては「…

    「経済成長」とは何か?日本人の給料が25年上がらない理由

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