<実話>モンスタークライアントに「物理的に不可能な仕事」を指摘され、契約解除に…。泣き寝入りすべき?【弁護士が解説】 (※写真はイメージです/PIXTA)

依頼した仕事を、採算度外視で、全身全霊で対応してもらえれば、感謝こそすれ、不満が発生することはないでしょう。ところが、その恩義に対し、仇で返すような対応をされたとしたら……。非道ともいえる対応に、法的な落とし所はあるのでしょうか。実際にココナラ法律相談のオンライン無料法律相談サービス「法律Q&A」によせられた質問をもとに、一方的な契約不履行通告による契約解除の有効性について平山諒弁護士に解説していただきました。

一方的に契約不履行を通告。契約解除は有効なのか

相談者のmacさん(仮名)は、会社をSOHO的に経営して数十年。利益よりも、「赤字でも良いので、つながりを大切に」をモットーに、コツコツと信頼を積み重ねてきました。

 

macさんが受注した、ある会社のシステム開発案件での出来事。macさんはいつも通り、精一杯、全力で開発に取り組みました。次も見据え、損得抜きで採算は二の次です。

 

しかし「精一杯」とはいっても、「物理的にできない開発」もあります。

 

システム開発では実際に着手してみないと、そうした部分があることがわからない側面があるのです。相手側もその点は了承済みでした。

 

ところが、作業が終わると耳を疑う事態が待っていました。

 

相手側が「物理的にできない開発」の部分を指摘し、一方的に「契約不履行だ」として契約解除を通告してきたのです。

 

相手側の弁護士も、この対応に問題はないと判断されているとのこと。

 

抗議もままならない、あまりに強硬な対応にmacさんは困惑しています。

 

macさんによると、これまでに数多くの携わってきたシステム開発案件の中でも、今回のような対応は初めてだそうです。

 

もちろん、今回の開発案件に対し、macさんは全力で取り組んでおり、過失等はほぼないと考えています。

 

ちなみに、相手側との一連のやり取りは、メール部分についてはすべて残っています。

 

そこで、ココナラ法律相談「法律Q&A」に次の3点について相談しました。

 

1.「物理的にできない開発」が契約不履行にあたるのか。

2.一方的な契約解除は無効ではないのか。

3.開発完了部分の請求はできないのか。

「物理的にできない開発」の契約

私たち弁護士がこの種のご相談をお受けする際に、何よりもまず確認したいのは「契約内容がどうなっているか」すなわち、相談者様にとって「何を行うのが義務の内容になっているのか」という点です。

 

今回のようにシステム開発の案件であれば、受注する側にとって「何を、どんなシステムを開発するのが義務なのか」という部分を特定しなければなりません。

 

債務不履行にあたるのかどうかの、そもそもの「履行しなければならなかった債務内容とは何か」をはっきりさせるのが話のスタートラインになります。

あなたにオススメのセミナー

    弁護士

    府中ピース・ベル法律事務所

    中央大学法学部、一橋大学法科大学院卒。
    2009年 弁護士登録
    2015年 府中ピース・ベル法律事務所を開設。離婚事件、労働事件といった暮らしの法律問題や、東京都府中市を中心に都内の中小企業の企業法務、労務問題などを取り扱う。

    http://fpb.tokyo/

    〈ココナラ法律相談の掲載ページ〉
    https://legal.coconala.com/lawyers/4174

    著者紹介

    検索メディア

    一人ひとりにあった弁護士が見つかる検索メディア「ココナラ法律相談」。離婚や相続、刑事事件など個人の人生を左右する法律トラブルから、契約書作成や営業妨害、債権回収など法人・個人事業主のビジネスに関わる法務依頼まで、一人ひとりの悩み分野にあった、強みのある弁護士を見つけられます。また、悩み投稿に弁護士が無料回答する法律Q&A機能を活用した情報収集が可能です。

    ココナラ法律相談
    https://legal.coconala.com

    著者紹介

    連載弁護士検索メディア『ココナラ法律相談』に寄せられた法律に関する疑問を、弁護士が徹底解説

    メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

    登録していただいた方の中から
    毎日抽選で1名様に人気書籍をプレゼント!
    TOPへ