一方的に契約不履行を通告。契約解除は有効なのか
相談者のmacさん(仮名)は、会社をSOHO的に経営して数十年。利益よりも、「赤字でも良いので、つながりを大切に」をモットーに、コツコツと信頼を積み重ねてきました。
macさんが受注した、ある会社のシステム開発案件での出来事。macさんはいつも通り、精一杯、全力で開発に取り組みました。次も見据え、損得抜きで採算は二の次です。
しかし「精一杯」とはいっても、「物理的にできない開発」もあります。
システム開発では実際に着手してみないと、そうした部分があることがわからない側面があるのです。相手側もその点は了承済みでした。
ところが、作業が終わると耳を疑う事態が待っていました。
相手側が「物理的にできない開発」の部分を指摘し、一方的に「契約不履行だ」として契約解除を通告してきたのです。
相手側の弁護士も、この対応に問題はないと判断されているとのこと。
抗議もままならない、あまりに強硬な対応にmacさんは困惑しています。
macさんによると、これまでに数多くの携わってきたシステム開発案件の中でも、今回のような対応は初めてだそうです。
もちろん、今回の開発案件に対し、macさんは全力で取り組んでおり、過失等はほぼないと考えています。
ちなみに、相手側との一連のやり取りは、メール部分についてはすべて残っています。
そこで、ココナラ法律相談「法律Q&A」に次の3点について相談しました。
1.「物理的にできない開発」が契約不履行にあたるのか。
2.一方的な契約解除は無効ではないのか。
3.開発完了部分の請求はできないのか。
「物理的にできない開発」の契約
私たち弁護士がこの種のご相談をお受けする際に、何よりもまず確認したいのは「契約内容がどうなっているか」すなわち、相談者様にとって「何を行うのが義務の内容になっているのか」という点です。
今回のようにシステム開発の案件であれば、受注する側にとって「何を、どんなシステムを開発するのが義務なのか」という部分を特定しなければなりません。
債務不履行にあたるのかどうかの、そもそもの「履行しなければならなかった債務内容とは何か」をはっきりさせるのが話のスタートラインになります。