イーロン・マスク、スティーブ・ジョブズ…時代を切り拓く成功者たちが持つ「野心」の正体【脳科学者・茂木健一郎が解説】

イーロン・マスク、スティーブ・ジョブズ…時代を切り拓く成功者たちが持つ「野心」の正体【脳科学者・茂木健一郎が解説】
(※写真はイメージです/PIXTA)

脳科学者である茂木健一郎氏は著書のなかで、不確実性の時代を生き抜くには「論理的思考力」と「精度の高い仮説を立てる力」が必要だと述べています。これらはどちらも“左脳的”な要素ですが、イーロン・マスクやスティーブ・ジョブズといった成功者たちは“右脳的”な要素である「野心」を持ち合わせているといいます。時代を切り拓く「野心」とはいったいなんでしょうか。みていきます。※本連載は、茂木健一郎氏の著書『「本当の頭のよさ」を磨く脳の使い方 いま必要な、4つの力を手に入れる思考実験「モギシケン」』(日本実業出版)から一部を抜粋し、幻冬舎ゴールドオンライン編集部が本文を一部改変しております。

“他人から見て愚かなもの”に価値は眠っている

イーロン・マスクの判断基準「クレバー/フーリッシュ・マトリクス」

たとえば、イーロン・マスク(1971〜)。彼を知らないビジネスパーソンはいないでしょう。宇宙ロケットを製造開発する「スペースⅩ」や電気自動車を開発する「テスラ」を創業した、言わずと知れた世界トップクラスの実業家です。

 

彼が価値判断する際に用いている軸に「クレバー/フーリッシュ・マトリクス」というものがあります。イーロン・マスクは、何か新しい事業に挑戦するときに、このクレバー/フーリッシュの軸に照らし合わせて、「やる/やらない」を決めていると分析されています。直訳すると、クレバーとは賢い、フーリッシュとは愚か。イーロン・マスクが判断軸としているものは、クレバーが挑戦に値すること、フーリッシュが挑戦する価値がないこと、ととらえてもいいでしょう。

 

自分から見てクレバーかフーリッシュかを横軸に、他人から見てフーリッシュかクレバーかを縦軸にしていくとマトリクスが完成します[図表]。

 

出典:茂木健一郎氏の書籍『「本当の頭のよさ」を磨く脳の使い方』(日本実業出版社)より
[図表]イーロン・マスクのクレバー/フーリッシュマトリクス 出典:茂木健一郎氏の書籍『「本当の頭のよさ」を磨く脳の使い方』(日本実業出版社)より

 

そこには、次の4つのゾーンが出現します。

 

自分から見て賢い(クレバー)と思う&他人から見て愚か(フーリッシュ)だと思う


自分から見て賢い(クレバー)と思う&他人から見て賢い(クレバー)と思う

自分から見て愚か(フーリッシュ)だと思う&他人から見て愚か(フーリッシュ)だと思う

自分から見て愚か(フーリッシュ)だと思う&他人から見て賢い(クレバー)と思う

 

この4つのゾーンのうち、イーロン・マスクが重視するのはです。他人から見ると愚かに見えても、自分にすれば賢いと思えるものこそ、事業として成功の確率が高く、優先的に取り組むべきというのが彼の考え方なのです。

 

たまたまイーロン・マスクは自覚的に、あえて言語化しているためにわかりやすいですが、成功者たちは大なり小なり「他人から見て愚かだが自分にとっては賢い挑戦」にチャレンジしています。

 

iPhoneも発売当時は酷評されていた

スティーブ・ジョブズもそうですよね。当時、フューチャーフォン(いまで言うガラケー)が主流の携帯市場に突如現れたiPhone。日本のフューチャーフォンの開発者たちは「あんなものは売れない」「電話にウォークマン機能はいらない」とさんざん酷評しました。ところがiPhoneはあっという間にシェアを伸ばし、「携帯電話」の概念を変えたスマートフォンがいまや一世を風靡していることはみなさんよくご存知のはずです。

 

成功者たちがこれまで果敢に挑んできた新しいチャレンジ。たとえ、まわりから「あいつはバカなことをやっている」と思われようが、そんなのおかまいなし。

 

なぜなら、そうした成功者たちは周りの人間が「これはさすがに無理」「リスクが高すぎる」ということでもあきらめず、果敢にチャレンジしたからこそ、大きな成功を手に入れることができたのです。

 

 

茂木 健一郎

理学博士/脳科学者

 

※本連載は、茂木健一郎氏の書籍『「本当の頭のよさ」を磨く脳の使い方 いま必要な、4つの力を手に入れる思考実験「モギシケン」』(日本実業出版社)より一部を抜粋・再編集したものです。

「本当の頭のよさ」を磨く脳の使い方 いま必要な、4つの力を手に入れる思考実験「モギシケン」

「本当の頭のよさ」を磨く脳の使い方 いま必要な、4つの力を手に入れる思考実験「モギシケン」

茂木 健一郎

日本実業出版社

いまの時代、ただ勉強ができるだけではダメで、どんな場所でも生き抜ける「本当の頭のよさ」が必要。それは誰もが思うことではないでしょうか? 脳科学者である著者は「情緒に流されない力」「地図を読み換える力」「アニマ…

人気記事ランキング

  • デイリー
  • 週間
  • 月間

メルマガ会員登録者の
ご案内

メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

メルマガ登録