“ピンときた”の正体は「前頭連合野」
セオリー・オブ・マインド(Theory of Mind)、日本語では「心の理論」ですが、人の身振りを見て心を推測できる能力のことです。
笑顔だったら嬉しい、泣き顔だったら悲しい、でも口元は微笑んでいて目には涙が浮かんでいて手に花束を持っていたら「感動」とか、見た目の表情から相手の心の動きを洞察する。つまり、「顔を見ていたらピンときた」とか、「あの子を見ていたら、なんとなく助けてあげたくなった」という感情の正体ですが、それが脳の「前頭連合野」の働きであることが最近になってわかってきました。
前頭連合野(ぜんとうれんごうや)というのは、脳のいろいろな場所に保存されている情報を集めて一時的に保存し、その情報を組み合わせたりばらばらにしたりして、物事を検討したり予測したりする機能を持っています。
つまり、前頭連合野の活動が活発であればあるほど、高度な情報収集、検討や予測、相手の態度から心を押し測ることなどが可能になります。アニマルスピリッツ※をコントロールする高度なインテリジェンスに必要なのが、このセオリー・オブ・マインド、すなわち前頭連合野の予測や判断です。
※ 参照:第5回『イーロン・マスク、スティーブ・ジョブズ…時代を切り拓く成功者たちが持つ「野心」とは』
「解釈」だけでは知性不足…前頭連合野を活発にして「推測力」を高める
見たものを見たままに解釈する、たとえば、日本の経済状況を見て「あ、日本はもうダメだな。沈没船だ」と言っているだけでは、それはセオリー・オブ・マインドに優れているとは言えません。
「日本はいま、経済的に停滞している。でも半導体に関しては世界トップクラスの製造技術を持っているみたいだし、観光や介護といった分野での日本のホスピタリティは突出しているみたいだ。だとしたら、このホスピタリティが必要な分野のテコ入れを考えるのが国家再生の近道なのかな」とか、そういうふうに考えられる人は、セオリー・オブ・マインドに優れていると言えます。
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