(※写真はイメージです/PIXTA)

動物学者にとっても、脳科学者にとっても重要な研究対象であるフクロウ。研究する際にはフクロウの繁殖が不可欠ですが、多くの研究室が挑戦してもなかなかうまくいかず、頭を悩ませていました。そのようななか、ある研究者がついに繁殖に成功します。成功に至った方法を脳科学者の茂木健一郎氏が解説します。※本連載は、茂木健一郎氏の著書『「本当の頭のよさ」を磨く脳の使い方 いま必要な、4つの力を手に入れる思考実験「モギシケン」』(日本実業出版)から一部を抜粋し、幻冬舎ゴールドオンライン編集部が本文を一部改変しております。

木の上に住む夜行性のフクロウ…繁殖は不可能?

フクロウの繁殖に成功した研究者がいます。僕はこの方のエピソードが、抽象化と仮説が成功した好例だと感じたので、ご紹介します。

参照第3回「茂木健一郎が感銘!日本人初のMITメディア・ラボ所長が語る「地図よりコンパスが大事」の真意とは?」

 

その研究者とは、カリフォルニア工科大学の教授時代に、フクロウが暗闇で狩りをするための脳神経機構を発見し、動物行動学と大脳生理学を結合させたマーク小西さんという方です。残念ながら2020年にお亡くなりになったのですが、関係者から以前うかがった話です。

 

フクロウの耳というのは、位置や大きさが左右非対称になっていて、超音波をとらえて相手までの距離を測るすごい能力を持っています。脳科学でもすごく重要な研究対象だったので僕もフクロウには以前から、とても興味がありました。

 

動物学者も脳科学者も興味を持ち、研究したいとなると、フクロウがたくさん必要になってきます。研究に適しているのはメンフクロウという種類です。メンフクロウ自体は南極以外のすべての大陸に生息しているので数も多く比較的手に入れやすいのですが、とはいえ、フクロウです。

 

フクロウという鳥は、皆さんのイメージ通り森の中にいて夜行性で、基本的に木の上に暮らしています。大半が夜行性で聴覚が鋭く、森の高い木の上や古い建物、崖の裂けめのような場所に巣をつくります。

 

つまり、人間が通常活動しない時間帯に活動していて、多くの人間には到底行けない場所に住んでいるので、モンシロチョウなどと違って、そこらへんで捕まえてくるということがなかなか難しいワケです(最近はモンシロチョウを捕まえるのもなかなか難しいですが)。ですから、多くの研究室では自前でフクロウを繁殖させようとします。

 

マーク小西さんがカリフォルニア工科大学にいた当時、どうしたら繁殖できるのか、いろいろな研究室が躍起になってうまい方法を探していたのですが、うまくいきませんでした。その中でマーク小西さんの研究室ではみごとに繁殖に成功しました。

 

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※本連載は、茂木健一郎氏の書籍『「本当の頭のよさ」を磨く脳の使い方 いま必要な、4つの力を手に入れる思考実験「モギシケン」』(日本実業出版社)より一部を抜粋・再編集したものです。

「本当の頭のよさ」を磨く脳の使い方 いま必要な、4つの力を手に入れる思考実験「モギシケン」

「本当の頭のよさ」を磨く脳の使い方 いま必要な、4つの力を手に入れる思考実験「モギシケン」

茂木 健一郎

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いまの時代、ただ勉強ができるだけではダメで、どんな場所でも生き抜ける「本当の頭のよさ」が必要。それは誰もが思うことではないでしょうか? 脳科学者である著者は「情緒に流されない力」「地図を読み換える力」「アニマ…

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