(※写真はイメージです/PIXTA)

環境的要因と遺伝的要因から最適な治療を導き、医療の質を向上させる新たな概念である「ペイシェント・ベイスド・メディスン(PBM)」は、従来の標準化された治療方針では見落とされてしまう、遺伝情報や患者個々の出身地や生活歴などの背景を考慮した治療を行うものです。東大病院に勤務後、現在は年間10万人を超す外来患者が殺到する眼科病院の理事を務める眼科医・宮田和典氏が、次世代医療の要と成り得る「ペイシェント・ベイスド・メディスン(PBM)」について詳しく解説します。

PBMの考え方でいくつもの日本初の知見や治療法を確立

私自身はPBMの考え方をもつようになるまで、何十年も目の前の患者から得られたデータをもとに研究を進めてきました。

 

実際に患者を診察・治療しながらデータを集め、それを分析し、その結果をまた患者にフィードバックする――それを何年も繰り返せば、非常に精度の高い、まさに自分の患者のためのエビデンスができるのです。

 

それは病気本来の特性に上乗せして、地域特性や患者特性まで配慮した、まさに自分の患者のためのエビデンスです。

 

自分の患者からエビデンスを集め、それを治療に反映させていくサイクルの繰り返しによって、いくつもの日本初の知見や治療法を確立、患者に還元することができました。

 

なお、私たちが患者から導き出し、患者に応用するためのエビデンスは、必ずしも最も信頼性が高いレベルのエビデンスである必要はありません。

 

単なる意見や感想では意味がありませんが、その下のエビデンスレベルである非ランダム化比較試験やコホート研究、症例対照研究でも十分に役立つエビデンスとなるのです。

 

これらの研究は、ガイドラインを作る際のエビデンスとしては弱いものですが、実際に個々の患者に応用するには非常に有効なエビデンスとなるからです。

 

宮田 和典

宮田眼科病院 理事長

医療法人明和会 理事長

 

※ 本連載は、宮田和典氏の著書『診断治療の質を上げる ペイシェント・ベイスド・メディスン』(幻冬舎メディアコンサルティング)から一部を抜粋し、再構成したものです

診断治療の質を上げる ペイシェント・ベイスド・メディスン

診断治療の質を上げる ペイシェント・ベイスド・メディスン

宮田 和典

幻冬舎メディアコンサルティング

患者の出身地や食生活によって、かかりやすい病気、重症度が変わる――。 環境的要因と遺伝的要因から最適な治療を導く。医療の質を向上させる新たな概念「PBM」とは? 1990年代にカナダで提唱された「エビデンス・ベイスド…

人気記事ランキング

  • デイリー
  • 週間
  • 月間

メルマガ会員登録者の
ご案内

メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

メルマガ登録