(画像はイメージです/PIXTA)

香港在住・国際金融ストラテジストの長谷川建一氏(Wells Global Asset Management Limited, CEO)が「香港・中国市場の今」を解説していきます。

ハンセン指数 19,679.22 pt (+2.71%)
中国本土株指数 6,716.32 pt (+3.33%)
レッドチップ指数 3,615.98 pt (+1.06%)
売買代金1,014億7百万HK$(前日692億9百万HK$)

米国はインフレ継続も、消費者心理は改善傾向

クリスマスホリデーを前に薄商いが続く株式市場では、先通し不透明ななか、方向感の見えない展開が続く。そんななか、米国市場では米消費者信頼感指数が発表され、11月は市場予想値を大きく上回り、今年4月以来8ヵ月ぶりの高水準だった。

 

物価高騰は続いているが、足元の米国経済は、底堅い雇用市場によって支えられて、消費者心理が改善したことが示された。現段階では、個人消費が堅調に推移しており、リセッションリスクは顕在化していないことを裏付ける内容と受け止められた。

 

このため、21日の米国株式市場ではS&P500を構成する11セクターは上昇した。23日にはFRBがインフレ指標として注目する米11月個人消費支出(PCE)が発表される。

 

この指標は、米FRBが最重要視する指標の一つであり、インフレ動向を示すこともあって注目度は高い。ここ数ヵ月は経済指標が市場予想より下ぶれして、FRBの急ピッチな利上げに歯止めがかかるとの観測が株式市場をサポートしてきたが、FOMC以降、マーケットの想定シナリオにも変化がみられる。

 

今回、インフレ動向が多少鈍化したとしても、素直に好感するのは難しい展開になるのではないか。

香港市場は大幅反発

中国本土では新型コロナウイルスの感染者が急増しているにも拘わらず、中国政府が新型コロナウイルス感染対策として、入国者に義務付けてきた隔離措置を来年にも撤廃するとの観測から、経済再開の期待が高まっている。

 

中国国務院は21日、来年の経済成長の改善を目指し、景気支援に向けた政策措置を実施する機会を逃さないと表明し、更なる経済支援の政策可否を示唆した。

 

ここ数ヵ月の中国の経済の支援策はインフラ支出や不動産部門の救済に融資規制を緩和するなど段階的な支援は打ち出されているもの、金融・財政政策による景気刺激策は思うように発表されないのも事実である。今後の大胆な経済シフトへの政策期待に一層注目が集まる。

 

また、証券監督管理委員会の党委員会では、中央経済工作会議をフォローし、経済状況の改善に貢献するべく、制度面での規制緩和と上場企業の質の向上を促進するための新3年行動計画を実施すると表明した。

 

22日の香港市場は、朝方高く寄り付いた後、買いが先行し、ハンセン指数は前日比2.71%高と約2週間ぶりの高値まで回復した。

 

ハイテク株で構成されるハンセンテック指数は同4.61%高と市場をアウトパフォームした。電気自動車メーカーの小鵬汽車(9868)は11.2%高、動画配信のビリビリ(9626)は9.6%高、高性能データセンター開発の万国数拠(9698)は8.8%高、ソフトウエア開発の明源雲集団(0909)は8.1%高と買われた。

 

本土の新型コロナの緩和拡大期待からリオープン銘柄が反発。大手カジノの澳門博彩(0880)は4.6%高、新濠国際発展(0200)、MGMチャイナ(22820)はそろって4.1%高、ウィンマカオ(1128)は3.2%高だった。

 

外食関連株もしっかり、レストランチェーンの呷哺呷哺(0520)は15.7%高、火鍋チェーンの海底撈国際(6862)は7.6%高、翠華控股(1314)は6.7%高だった。

 

中国本土株市場は上海総合指数は前日比0.46%安の3,054.43と6日続落、CSI300は0.14%高の3,836.03で引けた。経済再開の期待で小高く寄り付くも、引けにかけてマイナスに転じ上海総合指数は約1ヵ月ぶりの安値となった。

 

足元の感染拡大で医療機関が逼迫するとの見方も強く、エネルギーや発電といったセクターに売りが強まった。
 

長谷川 建一

Wells Global Asset Management Limited, CEO/国際金融ストラテジスト<在香港>

 

 

 

 

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