(画像はイメージです/PIXTA)

香港在住・国際金融ストラテジストの長谷川建一氏(Wells Global Asset Management Limited, CEO)が「香港・中国市場の今」を解説していきます。

ハンセン指数 19,160.49 pt (+0.34%)
中国本土株指数 6,500.18 pt (+0.43%)
レッドチップ指数 3,578.21 pt (+0.27%)
売買代金692億9百万HK$(前日962億6百万HK$)

2年物日本国債利回りが、約7年ぶりのプラス圏に

日銀決定会合を受けてドル円は夜間で一時1ドル=130円台まで上昇、日本の債券市場では2年物日本国債利回りが、2015年10月以来となるプラス圏に浮上した。長期金利の基準となる10年日本国債利回りは一時0.480%まで上昇し、長期金利の変動許容幅の上限に迫った。

 

株式市場では、昨日のようなリアクションではなくなったものの、金利上昇を嫌気して積極的にリスクを取りにくくなった。

 

日銀は、政策金利を短期、長期ともに据え置いたものの、イールドカーブ・コントロール(YCC)政策の一部を見直した。

 

黒田総裁は、金融引き締めではないと説明したが、マーケットは、来年には日銀が金融政策を変更し、利上げするのではとの憶測も強まった。黒田日銀総裁の残された任期中に、新総裁が日銀の政策を柔軟に実行できるよう、先んじて行動したとの解釈も強く、日本のCPIが予想を超えて上昇することを懸念し始めたのではないかとの見方も出ていた。

 

主要各国の中銀が、金融政策で引締めスタンスを明確にし、2023年はインフレ抑制を優先することで足並みを揃えてきた。金融緩和と量的緩和を追い風としたリスク資産価格の押し上げ効果も後退するとの見方もある。

 

更に、経済成長鈍化の懸念も加わって、難しい相場環境が予想される。金融市場が描いた、早ければ米FRBが2023年終盤から2024年にかけて利下げを開始するとのシナリオも、実現の見通しはない。

 

今週、金曜にはFRBがインフレ指標として注目する米11月個人消費支出(PCE)が発表される。この指標を新たな手掛かりにしようと注目が集まる。

香港市場は反発。リオープン銘柄が再上昇

21日の香港市場は前日終値で一進一退の動きとなるなど上値が重い展開となった。ハンセン指数は前日比0.34%と小幅高、売買代金は約690億香港ドルと平均出来高の半分近くの薄商いと閑散ムードを強めた。

 

取引時間中には、中国政府が新型コロナウイルス感染対策として、入国者に義務付けてきた隔離措置を、来年1月3日から撤廃するとの観測も流れた。

 

現行の措置では、海外から中国に入る際には当局が指定する施設での5日間の集中隔離と自宅での3日間の健康観察が必要となるが、緩和後は、集中隔離が不要となり、3日間の健康観察のみとなる見通しである。

 

当局の記者会見では、その場での事実関係の確認を避けたものの、近日中にも正式に発表される模様である。

 

この報道を受け、リオープン銘柄が再び上昇した。航空銘柄で航空リースの中銀航空租賃(2588)は2.8%高、中国国際航空(0753)は2.2%高、中国南方航空(1055)は2.1%高、オンライン旅行サイトでは同程旅行(0780)は2.7%高、トリップドットコム(9961)は2.6%高と買われた。外食関連やカジノ関連も上昇し、火鍋チェーン最大手の海底撈国(6862)は4.0%高だった。

 

スポーツ用品大手ナイキの売上高が市場予想を上回ったことを材料に衣類関連といった消費材も上昇。ニット衣料の申州国際(2313)は6.7%高、スポーツ用品の李寧(2331)は2.6%高と上げが目立った。

 

中国本土株市場は上海総合指数は前日比0.17%安の3,068.41と5日続落、CSSI300は0.04%高の3,830.54だった。景気刺激策に対する期待は高いもの、前日の人民銀行の政策金利の据え置きなど、疑心暗鬼になっている参加者には慎重な動きも目立つ。中国本土の新規感染者数は、じわじわと増加しており、引き続き感染拡大の懸念も根強い。

 

長谷川 建一

Wells Global Asset Management Limited, CEO/国際金融ストラテジスト<在香港>

 

 

 

 

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