ポイズンピル発動の事例
新株予約権を発行する敵対的買収の防衛策であるポイズンピルは、具体的にどのようなケースで用いられてきたのでしょうか?国内の事例をみていきましょう。
ブルドックソース事件
ブルドックソースがスティール・パートナーズから買収を仕掛けられたとき、防衛策としてポイズンピルが発動されました。既存株主に新株予約権を発行したため、当然買収者のスティール・パートナーズにも交付されています。
しかしスティール・パートナーズは非適格者とされ、新株予約権を行使できないと規定されていました。この点が株主平等の原則に反しているため、新株発行をやめさせたいというのがスティール・パートナーズの主張です。
この訴えに対し、最高裁判所はブルドックソースの防衛策は適法と判断しています。
日本アジアグループ事件
シティインデックスイレブンスから株式公開買付による買収提案を受けた日本アジアグループは、防衛策として新株予約権の無償割当を実施しました。ただし行使条件は、シティインデックスイレブンスと他の株主で異なります。
この方法で買収を退けようとしましたが、東京地方裁判所において新株予約権の無償割当に対し、差止仮処分の決定が行われました。つまり無償割当の中止が適当と判断されたのです。
決定は高等裁判所でも覆ることはなく、日本アジアグループは新株予約権の無償割当を中止しています。
SBIHDvs新生銀行
主要株主の判断により、ポイズンピルによる防衛を中止したケースもあります。SBIホールディングスが新生銀行へ敵対的買収を仕掛けた事例です。
当初新生銀行はSBIホールディングス以外の既存株主に新株を交付し、持株比率を下げる防衛策を取っていました。しかし主要株主である国が、防衛策を取るのは適当ではないと判断します。
この判断に従う形で、新生銀行は買収を受け入れる結果となりました。
敵対的買収の防衛策を理解しよう
敵対的買収の防衛策として、新株予約権を発行するポイズンピルという手法があります。発行株式数を増やすことで買収者の持株比率を下げ、買収のハードルを上げる方法です。
あらかじめ有事には防衛策を講じると知らせる警告型のほか、実際に買収を仕掛けられてから導入する有事導入型、将来のリスクに備える信託型があります。
ただし状況によっては、株主から差止請求がなされる可能性もあるでしょう。
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