パウエル議長にもインフレの今後は「わからない」
パウエル議長は「自分が『知らない』ということを知っている」と言う
さて、先週は、米連邦公開市場委員会(FOMC)が開かれ、0.5%の利上げが決定されました。米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は、FOMC後の記者会見で、重要なことをいくつも述べています。そのうちのいくつかを、発言の順番に拾ってみます。
「インフレが持続的な低下方向にあることに自信を持つためにはさらにかなり多くの証拠が必要である」(⇒インフレがどうなるかはまだわからない)
「確かに、家計や企業、エコノミストなどによる長期の予想インフレは落ち着いている。しかし、それは自己満足に浸る根拠にはならない。高いインフレとの戦いが長く続けば、高いインフレ期待が長く続く可能性も大きくなる」(⇒インフレを甘く見てはいけない)
「いうまでもなく、我々の(四半期)見通しは委員会の意見でも行動計画でもない。経済がいまから1年先にどうなっているかについて、確信を持ってわかる者などいない」(⇒人間の予想などあてにはならない)
「経済見通しではふたたび、圧倒的多数のFOMC参加者がインフレリスクは上向きと見ていることが示されている。したがって、私は確信を持って『次回の経済見通しではターミナルレートが引き上げられることはない』などということなどできない。今後、我々はどうするかはわからないし、それは、今後のデータに依存している」
「そのとき(=ターミナルレートに到達したとき)の問題は、そこ(=ターミナルレート)にどのくらい留まるかであるが、委員会の強い見方は、われわれは、インフレが持続的な形で低下していることに本当に自信を持つまで、そこにいる必要があるだろうということだ。そして、それにはしばらく時間がかかると考えている」(⇒引き締めは長く続く可能性があると見ている)
「コア物価指数の55%を占める、非住宅関連のコアサービスセクターはまさに労働市場の関数といってよい部分だが、その部分が落ち着くためにはかなりの期間を要すると見られる」(⇒この部分のインフレは長く続く可能性があると見ている)
「この先、景気後退に向かうか向かわないか、あるいは、もし景気後退に向かうなら、それは深いものになるかそうでないのかは、誰にもわからないと、私は考えている。それは、まさに、知りようのないものなのである」