目下のロシア・ウクライナ情勢
ウクライナがロシア各地の空軍基地をドローンで攻撃したと見られる一方で、ロシアのプーチン大統領は「米国には予防的攻撃の理論がある」「(敵の核攻撃能力)を無力化する攻撃システムを開発している」として、核兵器を先制使用しないという軍事ドクトリンを正式に変更する可能性を示唆しました。
他方で、米国は、ウクライナによるロシア本土への攻撃を支持していません。
戦局が思わしくないとされるロシアは「escalate to de-escalate戦略」(相手を思い留まらせるためにエスカレートしていく戦略)を取っているといわれますが、足元では、攻勢を強めるウクライナがエスカレートしており、事態は危ういように思えます。
この一方で、マーケット参加者は、インフレや米連邦準備制度理事会(FRB)の利上げに気を取られているようです。
一部の元防衛省幹部は、ロシアが核兵器を使うとすれば、それは、「高高度電磁パルス(HEMP)攻撃」である可能性を指摘しています(→たとえば、渡部悦和ら著『プーチンの超限戦』(ワニ・プラス)、鬼塚隆志著『国民も知っておくべき高高度電磁パルス(HEMP)の脅威』日本安全保障戦略研究所などを参照)。
HEMP攻撃は、地上での核爆発ではなく、地上数十kmから数百kmの高さで核爆発を起こすものです。
爆風や熱風、放射線などによる人体への被害はないものの(→それゆえ「核攻撃ではない」と強弁される場合がある)、地上での核爆発よりもはるかに広範囲の電気・電子系統を損壊・破壊するものです。
1国のほとんどすべての電気や電子機器が損壊すれば、ライフラインを中心に日常生活への影響は計り知れません。