(※画像はイメージです/PIXTA)

消費税の「インボイス制度」の登録期限が2023年3月末日に迫っています。しかし、東京商工リサーチの調査によると、個人事業主の登録率は2022年11月末時点で20%未満でした。その背景には、インボイス制度に対応するためのコストがかかることに加え、制度自体への反対や疑問が根強いことも挙げられます。本記事では、インボイス制度の概要と問題点についておさらいします。

インボイス制度とは

インボイス制度は、消費税の納税義務を負う事業者における、消費税の計算プロセスに関する制度です。したがって、インボイス制度を云々する前提として、消費税の特殊なしくみについて理解する必要があります。

 

◆消費税の基本的なしくみ

消費税は、事業者が納税義務を負っています。販売する商品・サービスの価格(税抜き価格)の10%ないし8%を納税する義務を負っており、その分の額を価格に転嫁することになります。

 

末端に位置する消費者は、納税義務を一切負いません。商品・サービスの価格を支払うことで、間接的に税金を納めている「ことがある」にすぎません。

 

「ことがある」と記載したのは、事業者が商品・サービスの価格に消費税相当額を転嫁していないこともあるからです。

 

たとえば、事業者が「免税事業者」である場合、消費税の納税義務を負わないので、価格転嫁する必要はありません。

 

そして、後ほど改めて説明しますが、インボイス制度は「免税事業者」に特に大きなダメージを与える「弱い者いじめ」的な制度です。

 

◆消費税の計算プロセス

次に、消費税の計算プロセスについて説明します。

 

消費税の計算には「仕入税額控除」と「簡易課税制度」の2つの制度があります。

 

まず、「仕入税額控除」は原則的な計算方法です。消費税の額は「商品・サービスを販売した際に受け取った消費税相当額」から、「仕入れのときに支払った消費税相当額」を差し引いて算出します。

 

そうしないと、消費税の「二重払い」になってしまうからです。

 

これに対し、「簡易課税制度」は、売上高が5,000万円以下の事業者が利用できる例外的な制度です。上述の原則的な計算をする必要がなく、売上税額の一定割合の額を納税することで済ませることができます。

 

これは、売上高5,000万円以下の事業者が「仕入税額控除」をするのが大変だということを考慮したものです。

 

なお、売上高1,000万円以下の場合は「免税事業者」となります。

 

◆インボイス制度の内容

以上を前提として、インボイス制度の内容を説明します。

 

インボイス制度は、上述した消費税の2通りの計算方法のうち原則的な方法である「仕入税額控除」に関するものです。

 

「仕入税額控除」の計算をする際に、消費税を支払ったことを証明するため、取引先から発行された「適格請求書」(インボイス)がなければならないということです。

 

そして、問題視され批判を浴びている点は、インボイスを発行できるのは、「課税事業者」のみだということです。

 

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