(※画像はイメージです/PIXTA)

まもなく2022年度の確定申告のシーズンを迎えます。所得税・住民税には様々な「所得控除」の制度があり、まだまだ活用されていないものもあります。政府・与党が「増税」に余念がないなか、税負担の軽減につながる制度は貴重であり、利用できるものは可能な限り利用したいものです。本記事ではその代表格ともいえる「セルフメディケーション税制」について解説します。

セルフメディケーション税制とは

セルフメディケーション税制は、「医療費控除」の一つとして、2017年度から新たに施行されたものです。

 

薬局やドラッグストアで一定の市販の医薬品を年間総額12,000円を超えて購入した場合に、12,000円を超えた部分の額だけ「所得控除」を受けられます。

 

当初は2021年度までの期間限定の制度でした。しかし、2022年以降も更新され、それとともに改正が施され、以前よりも利用しやすくなっています。

 

その背景には、高齢化の進行によって今後、医療費がさらに増大していくことが見込まれることが挙げられます。厚生労働省の資料においては、以下のように、「医療費の適正化」という言葉で表現されています。

 

「少子高齢化社会の中では限りある医療資源を有効活用するとともに、国民の健康づくりを促進することが重要であり、国民が適切な 健康管理の下、セルフメディケーション(自主服薬)に取り組む環境を整備することが、医療費の適正化にも資する。」

 

下世話な表現をすれば、「国が財政難なので健康管理は自己責任で」という、いかにも新自由主義的な発想に基づくものです。

 

後述するように、セルフメディケーション税制の利用は定期的に健康診断等を受けることが条件となっています。

 

医療機関に頼らず、みずから健康診断等を受け、薬も市販のものを購入して「自己責任」で健康管理をしてほしいという国の意図がうかがわれます。

セルフメディケーション税制の対象となる医薬品

セルフメディケーション税制の対象となるのは、「スイッチOTC医薬品」の一部をはじめとする、厚生労働省が定めた医薬品です。

 

対象となる医薬品のパッケージには「セルフメディケーション 税 控除対象」と記載された「共通識別マーク」があります。また、レシートに「★」等の印字がされます。

 

したがって、もしも薬局やドラッグストアのレシートに「★」等の印字があったら、保存しておくべきです。

 

また、セルフメディケーション税制の対象となる医薬品は「スイッチOTC医薬品」と「非スイッチOTC医薬品」に分かれます。

 

以前は「スイッチOTC医薬品」かどうかで区別されてきていました。しかし、2022年度から、「医療費適正化効果」が重視されるようになっています。すなわち、「スイッチOTC医薬品」でも「医療費適正化効果」がないものは除外され、逆に「非スイッチOTC医薬品」であっても「医療費適正化効果」があるものは対象に含めることとしたのです。

 

◆スイッチOTC医薬品

「スイッチOTC医薬品」は、もともと医療機関で医師により処方されていたものが、市販向けに転用されたものです。対象となっている有効成分は91種類であり、2,693品目あります(2023年1月1日現在)。

 

「スイッチOTC医薬品」の一覧は厚生労働省HPで公表されています。

 

典型的な例としては、鎮痛剤「ロキソニン」や、これからの花粉症シーズンで活躍する「アレグラ」などが挙げられます。

 

◆非スイッチOTC医薬品

2022年から、一部の「非スイッチOTC医薬品」もセルフメディケーション税制の対象に加わりました。有効成分は42種類、対象となる品目は3,958品目です。

 

こちらも、一覧は厚生労働省HPで公表されています。

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