2.すべてを自分で把握したがる
経営者はその組織内で誰よりも優秀かつ経験豊富であり覚悟も定まっているので、組織内のさまざまな問題や意思決定事項のすべてを把握し、すべてに自身の意思決定を通したくなる傾向が強いです。たとえば、階層型化されている組織は、その規模も数十名、多ければ100名を超える大所帯となっています。ここで起こっている問題や意思決定事項のすべてに経営者の意見を通そうとすると、多大な待ち時間が発生してしまうでしょう。
また、人事評価などもトップが最終的に行うのであれば、そのパフォーマンスをあまり把握せずにざっくりとした印象のみで実施されることとなり、評価制度も機能しません。さらに、中間管理職が自身の責任の下で問題解決や意思決定する機会が奪われ、管理職の成長の阻害要因となってしまいます。
3.カリスマ性があり人たらし
経営者(特に創業社長)は、先見の明や徹底力、人望、人を見る目もあり、いろいろなものを兼ね備えた人物です。それゆえ、マネジメントにおいても深く悩まずに部下を成長させているケースがあります。
このような経営者は、部下である管理職にも同様のマネジメントを求めるのですが、そこに再現性がなく、成り立ての若手管理職などは迷いだらけのマネジメントになってしまいがちです。
このような経営者がいる組織は、メンバーの働く目的が「社長がいるから」や「尊敬する社長のため」のように社長そのものとなるケースが多いです。すると、組織拡大をすればするほど、階層が下のメンバーたちは自ずと社長との距離ができてしまい、それがモチベーションダウンに直結するという悪いサイクルとなってしまいます。
4.エモーショナルで感覚的
魅力的な経営者ほど相手の感情を動かすことに長けています。相手に応じて褒めると叱るを使いわけ、見事にモチベーションに火を付けていくのです。ただ、このマネジメントにもやはり再現性がまったくないので、同様のことを管理職に求めると大変なことが起きてしまうでしょう。
この手の経営者は事実ベースではなく感覚的な判断を好む傾向があります。日報に「今日頑張ったこと」を書かせていたり、評価項目に「どれだけ貢献したか」のような定性的な内容を入れたりしていることも特徴です。そして、実際には感覚的な人の好き嫌いが判断軸のとなってしまい、正しい成長環境ではなくなってしまいます。
5.優しくて面倒見がよい
やはり、このタイプの経営者も非常に多いです。その優しさが部下の不足を正しく指摘することを阻み、つい部下にとっての「よい人」であることを優先してしまったり、その面倒見のよさゆえに本来部下が考えるべき当人の役割部分をつい示唆してしまったり、同行やオブザーブという名の業務の巻き取りを行ったりしてしまいます。
このような環境で育った部下は、自分に足りないものがなんなのか理解することができないので、改善の仕方に迷うだけでなく、「自分は問題なく成長している」という誤った認識すら持ってしまうのです。
まとめ
いかがだったでしょうか。多くの経営者の皆様が上記のうち最低でも1つは思い当たるのではないでしょうか。その時点で、残念ながらあなたはダメな経営者の仲間入りです。まずは自分がダメな経営者に当てはまらないか、しっかりと自覚をすることが重要です。
入澤 勇紀
株式会社識学
営業1部部長 上席コンサルタント