「ダメな経営者」とは?
まず、ダメな経営者とはどういう経営者なのかを整理しておきましょう。「階層型組織」と「個人の成長環境」の2点を組織経営の大前提として考えていきます。なぜこれらを前提とするかというと、企業の目的には社会性が必要であり、その社会性の拡大には規模の拡大と組織の継続性が不可欠であるからです。
規模の拡大に際し、1人の人間がみられる範囲に限界があるので階層型組織化は避けられません。また、継続的な組織運営をするには特定のカリスマに依存する属人的な組織運営ではなく、末端のメンバーを含めた従業員全体の成長環境をいかにシステマティックに整えられるかがポイントです。これができない経営者がダメな経営者です。
ダメな経営者の5つの共通点
では、そんなダメな経営者にありがちな共通点について具体的にみていきましょう。
1.高次の自己管理をほかの人もできることと考えている
これは、自分が特別であるという自覚のなさゆえに起こります。非常に多くの経営者が持っている思考の癖です。特に、自身で創業している経営者は、その企業理念を叶えるために強い信念(希望)を持っています。裏を返せば、それが叶えられないことは強い恐怖でもあり、この信念とも恐怖とも呼べるものが原動力となって、業務に突き進んでいくのです。
そこには、自身での明確な目標設定に始まり、期限時に目標に到達していなければ不足を自責に捉えて行動変化をとことん考え、その行動変化を徹底するという高次の自己管理が求められます。多くの経営者はこの高次の作業を誰もが当たり前にできるものと考える癖があるのです。それゆえ、この環境を従業員に対しても積極的に設定しようとしません。
ところが、一般的な従業員は自発的に恐怖を持つことが難しく、希望(OOすればXXを得られる)が原動力となります。この希望は得たいものを諦めることやそのレベルを下げることも容易であるため、自己管理を継続的にできる人は一握りしかいないのが現実です。
また、経営者は自身のコミュニティをつくる側の人であり、他人がつくったコミュニティで従業員側として働くことが苦手な人が少なくありません。ゆえに、他人が設定したルールを疎ましく感じ、守ることも得意ではありません。自身がコミュニティをつくる際にもその感覚のままとなり、ルール設定を避け、ルール遵守の必要性を感じない傾向があります。そのようなコミュニティは規律がなくなり、組織として機能しなくなってしまうのです。