(※写真はイメージです/PIXTA)

離婚時の持ち家は、例え夫婦どちらかの名義だとしても、婚姻後に家を購入し夫婦の協力のもとに維持している場合は、財産分与の対象となります。しかしなかには親名義の土地に家を建てていたり、住宅資金の援助を受けたため親と共有名義になっているケースなどがあります。その場合、財産分与で持ち家をどう分けるべきなのでしょうか。そこで実際にココナラ法律相談のオンライン無料法律相談サービス「法律Q&A」によせられた質問をもとに、離婚時の持ち家の財産分与について石原幸太弁護士に解説していただきました。

 

妻と義母名義の持ち家、財産分与はどうなる?

相談者のかじよしさん(男性・仮名)は結婚20年になる妻と離婚することになり、持ち家の財産分与について疑問があるため、ココナラ法律相談「法律Q&A」に相談しました。

 

持ち家は結婚3年目で購入し、住宅ローンはあと5年程で終わります。

 

住宅ローンは妻名義で、かじよしさんは連帯保証人となっており、不動産の名義は妻と妻の母親で2分の1ずつとなっています。妻の母親が名義に入っている理由は、住宅購入の際に頭金を援助してくれたためです。

 

義理母は別の自宅を所有しているためこの家には住んでおらず、現在は妻と子どもが住んでいます。不動産の査定を出したところ、売却益で住宅ローンは相殺でき、プラス500万円ほど現金が残る計算になりました。

 

この場合、かじよしさんと妻で現金を折半し、250万円ずつ受け取ることは可能なのでしょうか。

持ち家の2分1の持分は「妻の母親」が取得する可能性が高い

財産分与とは、夫婦が離婚した場合に、その一方が、婚姻期間中に形成した財産を清算するために、その分与を求めることをいいます(民法768条1項)。

 

そこで、相談者のかじよしさんのご質問を見てみると、まず、持ち家を結婚3年目で購入、すなわち、婚姻期間中に不動産を購入しておりますが、持ち家の名義は妻と妻の母親で2分1ずつとなっており、妻の母親が持ち家の2分1の持分を有している理由が、妻の母親が頭金を援助してくれたとのことです。

 

この場合、妻の母親は、不動産の購入代金の一部を支出し、その対価として不動産の2分1の持分を取得したと評価される可能性が高いです。とすると、持ち家の2分1の持分(妻の母親の名義部分)は、婚姻期間中に夫婦が取得した財産とはならず、妻の母親が取得した財産と評価される可能性が極めて高いといえます。

 

したがって、上記記載の評価を前提とすると、かじよしさんの持ち家のうち、財産分与の対象となる部分は、妻の名義部分のみとなります。

 

とすると、当該不動産に売却益が発生するとしても、そのうち、妻が取得できるのは半分であるため、売却益の2分1の金額から住宅ローンを差し引き、残額が発生する場合には、その残額が財産分与の対象となると考えられます。

夫婦以外の家族名義の財産分与

夫婦名義以外の財産、例えば、夫婦の子の名義や夫婦の一方の親族名義の場合、財産分与の対象となるかという相談が多々あります。

 

財産分与とは、夫婦が婚姻期間中に形成した財産を清算するための手続きであるため、原則として、夫婦の共有またはどちらか一方の名義である必要があります。

 

もっとも、仮に夫婦の共有名義またはどちらか一方の名義でない場合であっても、当該財産が形成された趣旨や目的、管理状況等を踏まえ、実質的に夫婦に帰属すると判断された場合には、財産分与の対象となります。

 

例えば、子の名義で銀行の普通預金口座を開設し、夫婦の管理のもと、毎月一定額を、子の将来の進学費用等のために貯金していた場合、たとえ、子の名義の預貯金であっても、財産分与の対象となる場合があります。

 

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