情報が溢れかえっている現代において、企業が熾烈な競争のなかで付加価値をもち、生き残っていくには「ウェブブランディング」が必要不可欠です。本連載ではグッドデザイン賞の受賞歴もある事業家・デザイナーの佐野彰彦氏が、著書『経営者のためのウェブブランディングの教科書 新装改訂版』から、企業価値を高めるためのウェブブランディングの方法について解説します。
「他人の心理」に近づくシンプルな方法
たとえばあなたが「車」を購入した時、「燃費はいいか?」という点にこだわっていたとします。つまり、車の維持費、ガソリン代をなるべく抑えたいと考えていたわけです。
それを「新築注文住宅」の場合に置き換えて考えると、日々の光熱費をなるべく抑えたいということになります。いい換えれば、「省エネ住宅に対応しているか?」ということです。
このフレームワークは「自分は新築住宅を建てた経験がない」ことを前提としています。経験がある場合はあなた自身の実体験をもとに④を書き出していきつつ、③でピックアップした他の「近い特徴をもつ商品・サービス」についても、同様に書き出していきます。
そうすることで多角的で深いレベルでターゲットの心理を先読みすることができます。そしてこのフレームワークを複数人で行い、それぞれの自分の心理をもち寄ることで、さらにターゲット心理の洞察を深めていきます。
自分と他人の気持ちは別と考える人がいますが、それは違います。自分が感じることは他の人も同様に感じることが圧倒的に多く、また人は「我が事」ととらえることで初めて真剣に考える傾向があります。
「他人の心理」という見えないものを追いかけるのではなく「自分の心理」を深く掘り起こすことが、的確にターゲット心理をとらえることにつながるのです。
佐野 彰彦
株式会社smallweb/株式会社それからデザイン
代表取締役
株式会社smallweb/株式会社それからデザイン
代表取締役
事業家・デザイナー。株式会社smallweb代表取締役、株式会社それからデザイン代表取締役。「ビジネスとデザインの統合」をテーマに活動。音楽系企業にて新規事業開発を担当した後、デザイン業界へ転身。WEB領域に強いデザイナーとしてキャリアを積み重ねる。モノの見せ方や伝え方だけを担当するデザイナーの関わり方について疑問を感じ、企業や商品のブランド開発、コンサルティングを主軸にするようになる。また、自らも事業家として、WEBサービス開発、コワーキングスペースなどを手掛ける。IT分野を得意とするデザイナーであり、事業家でもあるという経験から、現在は地域ブランディングの依頼も増えている。著書に『経営者のためのウェブブランディングの教科書』『ウェブ担当者1年目の教科書』(共に幻冬舎メディアコンサルティング)。2015年、2016年グッドデザイン賞受賞。
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