ブランド構築に主眼を置いた経営をすべき理由
結果として、ビジネスに寄り添い戦略を組み立てて提案できるようなデザイナーや制作会社が育ちにくい状況があります。それゆえ、制作会社側は原稿や写真を発注側に用意させ、その素材だけでウェブサイトを制作するという発注側まかせのスタンスになりがちであり、ブランド戦略型ウェブサイトには程遠い単なるウェブサイトが乱立してしまうのです。
これでは、ウェブサイトを何度リニューアルしても、思うような成果が得られないという悪循環から抜け出せません。
しかし、現在はブランディングに注目する経営者も、戦略やコンセプトなどの上流工程から提案する制作会社も増えてきました。ブランディングの必要性とともにその方法論を経営者と制作者が共有すれば、大きなチャンスを掴むことができるはずです。その事実にいち早く気づき、ブランド構築に主眼を置いた経営に軸を移していくことが大切です。
では、ブランディングに取り組むには何から始めたらよいのかというと、まずは会社の顔となるウェブサイトを起点としてブランディングを組み立てるのです。
読み手の心に届けたいものを企画に落とし込む
最も大切なことは、自社の考える価値や魅力、つまりブランドのコンセプトを、最も伝えたいと思う人(やがてファンになってもらいたいお客様)へ届けることです。
データを目の前にし「PDCA」サイクルに没頭してしまうと、テクニカルな改善手法ばかりに意識が傾いてしまい、肝心の「誰に何を届けたいのか?」を見失ってしまう恐れもあります。ブランディングにおいては売ることや数値を改善することがゴールではありません。自社のファンになってもらうこと、選ばれる存在になることです。
ウェブブランディングで最重視するのは「企画」です。ウェブサイトそのものを構築する手前でどんなコンテンツを企画できるか、どんな情報をウェブサイトに掲載すべきなのか、そこを戦略的に組み立てていくことに尽きます。自社の価値や魅力を丁寧に洗い出し最も届けたい人の心に響く内容をつくり上げるのです。
効果検証はその先で行うものですから、まずは企画に意識を集中させるべきです。
ウェブブランディングの成否は「企画」がその命運を握っています。
ウェブサイトで閲覧者にどんなブランドイメージを伝えたいのか、そして閲覧者の「心」をいかにキャッチするかを考え、それをウェブサイトのコンテンツに落とし込んでいきます。
佐野 彰彦
株式会社smallweb/株式会社それからデザイン
代表取締役