情報が溢れかえっている現代において、企業が熾烈な競争のなかで付加価値をもち、生き残っていくには「ウェブブランディング」が必要不可欠です。本連載ではグッドデザイン賞の受賞歴もある事業家・デザイナーの佐野彰彦氏が、著書『経営者のためのウェブブランディングの教科書 新装改訂版』から、企業価値を高めるためのウェブブランディングの方法について解説します。
ブランドの有無で何が変わるのか?
ブランドがある状態とない状態では具体的にどんな違いがあるのでしょうか。
ブランドがある状態、つまり心にポジティブな映像を浮かべている人は企業から「買ってください」と頼まれなくても自らの積極的な意思で商品を購入します。
いわば「お客様」ではなく「ファン」なのです。お客様とファンとでは企業に対する視線や態度がまったく異なります。
[図表5]はその相関関係を示しています。人気アーティストのライブはチケットが高くても入手が困難で、ファンはその日を心待ちにしています。人気のゲームソフトやファッションブランドなどの限定品の発売が予告されると、発売日にはショップの前に大行列ができるといったニュースも耳にします。ファンは他のものと比較検討することも、価格を気にすることもなく喜んで購入します。なぜならそのブランドに強くポジティブなイメージをもっているからです。
このように整理してみると、たとえ小さな会社であってもブランドは必要ないとはいえないのではないでしょうか。
ブランドとは現在の社会構造の中で、すべての企業に必要なものといっても過言ではないのです。
佐野 彰彦
株式会社smallweb/株式会社それからデザイン
代表取締役
株式会社smallweb/株式会社それからデザイン
代表取締役
事業家・デザイナー。株式会社smallweb代表取締役、株式会社それからデザイン代表取締役。「ビジネスとデザインの統合」をテーマに活動。音楽系企業にて新規事業開発を担当した後、デザイン業界へ転身。WEB領域に強いデザイナーとしてキャリアを積み重ねる。モノの見せ方や伝え方だけを担当するデザイナーの関わり方について疑問を感じ、企業や商品のブランド開発、コンサルティングを主軸にするようになる。また、自らも事業家として、WEBサービス開発、コワーキングスペースなどを手掛ける。IT分野を得意とするデザイナーであり、事業家でもあるという経験から、現在は地域ブランディングの依頼も増えている。著書に『経営者のためのウェブブランディングの教科書』『ウェブ担当者1年目の教科書』(共に幻冬舎メディアコンサルティング)。2015年、2016年グッドデザイン賞受賞。
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