なぜブランドが必要なのか?
またブランドは実は小さい会社にこそ必要です。ひとつ興味深いデータをご紹介します。
[図表1]はブランドの構築・維持を図る取り組み(つまりブランディング)を行っている企業と行っていない企業を比較し、取引価格の引き上げ・維持に寄与しているか否かを調査した結果をまとめています。
取引価格の引き上げ・維持に「大いに寄与している」または「ある程度寄与している」と回答したのは、ブランディングに取り組んでいる企業では55.9%、ブランディングに取り組んでいない企業では17.2%という結果になっています。
この結果からもブランディングはお客様に対する付加価値をもつことに直結し、取引価格において決定力をもつことができると考えられます。つまり価格競争に巻き込まれず、ある程度高い商品・サービスでも購入されるというアドバンテージを有しているともいえます。
次に、公益財団法人日本デザイン振興会が発表した「企業経営へのデザイン活用度調査結果発表」から、デザイン経営の取り組みと業績や固定客の関係性についてまとめたデータを解説します。
「デザイン経営」とはデザインを経営の根幹に据えた経営手法のことです。デザインの手法や考え方をブランドの構築に活用し、経営を強くすることを目指す手法です。ここでは少々おおらかに「デザイン経営の取り組み」を「ブランディング」と置き換えて解釈します。
[図表2]を見ると、平均売上高増加率が「20%以上」、または「10%以上20%未満」と回答した企業はデザイン経営に積極的な企業で33%、積極的でない企業では16%という結果になっています。
[図表3]を見ると、「同業他社と比較しても『コアファン』は多い」と回答した企業は、デザイン経営に積極的な企業で50%、積極的でない企業では24%という結果になっています。
[図表4]を見ると、「とても愛着を持たれていると思う」または「愛着を持たれていると思う」と回答した企業はデザイン経営に積極的な企業で73%、積極的でない企業では48%という結果になっています。
これらの結果からも、ブランディングに取り組むことで売上や業績を上げる効果があることはもちろん、お客様や従業員から愛される可能性も高まるという傾向が顕著です。