(写真はイメージです/PIXTA)

国土交通省の不動産価格指数によると、首都圏は、マンションが最高水準を継続し、戸建ても上昇しました。しかし、住宅市況については価格水準だけではなく、取引件数も加味して判断するのが適当だといえるでしょう。ニッセイ基礎研究所 渡邊 布味子氏の解説です。

中古マンション、新築分譲戸建ての購入希望者は様子見してもよい

現在の売買市場においては、開発用地の価格が高く、建築費についても上昇傾向である*6。投資額が大きく膨らんでいるため、住宅の供給者が価格を下げることは容易ではない。一方、不動産は一つとして同じものがなく、気に入った住宅の購入は、価格的に多少無理をしたとしても満足が得られやすい。特に新築マンションについては人気が高い上に、供給量が少なく、在庫戸数も一定で安定していることから、需要者の不足により市場が崩れるということはまずないだろう。

 

一方、長期金利の上昇、コストプッシュによる物価の上昇、賃金の低迷など、住宅市場を減速させる可能性のある複数のマクロ経済要因が生じている。購入希望者層の可処分所得の減少は、ローンの借入可能額やローン返済計画を通じて住宅の購入予算を引き下げ、住宅市場の価格上昇傾向を転換させる可能性があり、今後慎重に見ていく必要があるだろう。

 

首都圏住宅市場全体では取引戸数が減少し、新築マンション以外の市場では在庫戸数が増加している。特に新築分譲戸建ての在庫戸数の増加が続いた場合には、新築の期限である建築後1年を前に、売却価格の見直しや減額キャンペーンなど、今までにない販売方法に変化する可能性がある。売買は交渉事であり、全ての住宅で容易に価格が下がるわけではない。しかし、「住宅は購入したいが、どうしても買いたいという住宅に出会えていない」という人は、しばらく様子見という選択肢もありうる時期ではないだろうか。

 

*6:渡邊布味子『建築費高騰と不動産開発プロジェクト(後編)~建築費の高騰と建物の躯体別・用途別の影響』(ニッセイ基礎研究所、研究員の眼、2022年10月27日)

 

 

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※本記事記載のデータは各種の情報源からニッセイ基礎研究所が入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本記事は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。
※本記事は、ニッセイ基礎研究所が2022年12月9日に公開したレポートを転載したものです。

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