
先代のころから店舗兼住宅を借り、50年以上青果店を営んできた借主。しかし、「倒壊の危険性がある」ということからオーナーに退去を求められました。「いまさら無理」と断った借主でしたが、物件の老朽化も相当進んでいます。退去となった場合、オーナーは借主にどれくらい立退料を支払う必要があるのでしょうか。賃貸・不動産問題の知識と実務経験を備えた弁護士の北村亮典氏が、実際にあった裁判例をもとに解説します。
青果店を営んで50年…突然退去を求められた借主
【店舗の賃借人からの相談】
私の家は、先代から店舗兼居宅を借りて、同所で青果小売店をやってきました。借りている期間は先代から合わせると50年ほどになります。家賃は、今は月額2万6,000円です。
しかし、最近になり、大家から「この建物は築57年が経過していて大地震で倒壊の可能性があるので退去して欲しい。」と言われました。
ここで長年店舗を営んできており、いまさら引っ越せと言われてもとても無理な話ですので、断ったところ裁判を起こされてしまいました。
弁護士からは、最悪立ち退かなければならないと言われていますが、その場合の立ち退き料はどのくらいもらえるものなのでしょうか。
【説明】
賃貸人が老朽化を理由として賃借人に対して賃貸物件の明渡しを求める場合、賃貸借契約の解約の申入れを行う必要があります。
この解約の申入れを行うことにより、解約申入れ時から6ヵ月を経過すれば賃貸借契約は終了となります(借地借家法27条1項)。
しかし、賃貸人からの解約の申入れは、それをしただけでは当然に解約が認められるわけではなく、賃借人が解約を拒んだ場合には、解約の申入れに「正当事由」がなければ、法律上の効力が生じません。
この「正当事由」があるかどうかは、借地借家法28条が
と規定している通り、賃貸人、賃借人それぞれの事情を比較考量して判断されます。
実務上、本件のように、賃貸人側からは建物の老朽化を正当な理由として主張する場合はとても多いです。
しかし、建物の老朽化だけでは正当事由は認められず、妥当な金額の「立退料」の提供が必要とされるケースが非常に多いです。
そのため、「立退料」の金額が具体的にどのように算出されるべきかが問題となります。
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