前回は、収益物件を購入する「エリア」の選び方を説明しました。今回は、収益物件への投資で意識したい「ポートフォリオ」の構築について見ていきます。

災害や事件、事故など「努力」で回避できないリスクも

収益物件の活用においては、物件を複数棟取得することが重要です。複数棟を前提とした資産のポートフォリオを構築するためです。

 

実際、金融資産においても分散投資という考え方が一般的です。ひとつの銘柄にすべてを投資するのではなく、バランスを考えて投資していく手法です。不動産においても考え方は全く同じです。その根底にあるのはリスク管理であり、リスク分散です。

 

災害や事件・事故など、不動産には努力しても回避できないリスクが内在しています。それらのリスクがある以上、物件を複数所有して対応しなければなりません。複数持つことで、万が一そのひとつに事件があったとしても、他の物件の賃料収入で補うことができるのです。

 

例えば、1棟で10億円の物件を取得するよりも、3億3000万円ずつを3棟に分けて取得するほうがリスクは低くなります。1億円で10棟取得すれば、さらにリスクは減ります。収益物件のポートフォリオを構築するにあたっては、築年数、エリア、物件種類に焦点をあてて分散するとよいでしょう。

 

まず築年数による分散を行えば、その後発生する修繕のリスクに備えることができます。例えば古い物件ばかり所有していては、突発的な修繕が同時に発生した場合に、想定外の巨額な費用がかかってしまう可能性があります。

 

場合によっては、物件の運営そのものができなくなってしまうこともあるでしょう。高い利回りを期待できるのが古い物件のメリットですが、修繕が同時期に集中してしまうリスクをカバーするために、比較的築浅の物件と併せてバランスよく所有することが大切です。

リスクが分散されていれば想定外の事態にも対応可能

次にエリアによる分散です。ひとつのエリアに集中して物件を所有していると、地震などの災害や、そのエリアが依存する大規模工場や大学など大型施設の撤退、閉校などのリスクをすべての物件が負ってしまいます。

 

例えば、その町の雇用を支える大規模工場が撤退した場合、そのエリア内に所有するすべての物件の空室率が高まってしまう可能性があります。その半面、本当に良いエリアであれば、よりメリットを享受するために集中投資する戦略も取り得ますので、判断はケースバイケースとなります。

 

この他、物件種類によるリスクの分散が考えられます。事業用(事務所や店舗)の物件だけでは一般的にハイリスクです。安定的な収益源として、居住系を組み合わせる必要があるでしょう。この点も繰り返し述べているように収益物件活用の目的と照らし合わせて考える必要があります。

 

【図表】リスクを軽減する収益物件のポートフォリオ

本連載は、2014年8月30日刊行の書籍『会社の経営安定 個人資産を防衛 オーナー社長のための収益物件活用術』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

本連載は情報の提供及び学習を主な目的としたものであり、著者独自の調査に基づいて執筆されています。実際の投資・経営(管理運営)の成功を保証するものではなく、本連載を参考にしたアパート事業は必ずご自身の責任と判断によって行ってください。本連載の内容に基づいて経営した結果については、著者および幻冬舎グループはいかなる責任も負いかねます。なお、本連載に記載されているデータや法令等は、いずれも執筆当時のものであり、今後、変更されることがあります。

会社の経営安定 個人資産を防衛 オーナー社長のための収益物件活用術

会社の経営安定 個人資産を防衛 オーナー社長のための収益物件活用術

大谷 義武

幻冬舎メディアコンサルティング

アベノミクス以降、景気は回復傾向を示していますが、利益を上げ続けるというのは簡単なことではありません。加えてオーナー社長を悩ませるのが増税です。 本書では、中小企業のオーナー社長に向けて、賃貸用アパート・マンシ…

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