前回は、収益物件への投資で意識したい「ポートフォリオ」の構築について説明しました。今回は、投資の「目的」によって異なる収益物件の選び方について見ていきます。

副収入源としての物件選びでは利回りを重視

収益物件活用の目的は大きく分けて4つです。以下、それぞれの目的別(節税はフローとストックに二分)に、最適な物件のタイプをお話ししていきます。

 

●副収入源としての活用

副収入としての活用であれば、利回りが高い物件が対象になります。利回りが高い物件は都心部には少ないので、必然的に都心部からの距離は遠くなります。また、築年数の浅い物件では高利回りは得にくいので、築年数の古い物件が対象となります。

 

古い物件は、当然空室のリスクも高くなりますが、空室リスクは管理運営を工夫することで回避できます。また、税引き後のキャッシュフローという点からは減価償却を多く取れる物件を選ぶ必要があります。そのためには不動産の購入価格に占める建物比率(価格)を高める必要があり、売り手側との交渉が大切になります。

 

POINT

地方・高利回り・築古・建物価格を大きく(減価償却を有効に使うため)

貯蓄として活用するなら流動性と価格維持力を重視

●貯蓄としての活用

副収入としての活用と並行して行えますが、イザというときに換金できることが条件になりますので、まずは物件の流動性が高いことが必要になります。

 

流動性が高い物件イコール都心部にある(近い)物件になりますので、必然的に利回りは低くなります。また、売却時に価格が下がらないということも重要です。そのためには賃料下落の少ない物件もしくは土地値の占める割合の大きい物件を選ぶ必要があります。

 

POINT

都心・土地値・賃料安定

生命保険の保障が目的なら金融機関の選択を重視

●生命保険としての活用

生命保険としての物件の活用は、基本的には他の活用法と併用されるものです。例えば、副収入を得ながら、イザというときの場合に団体信用生命保険にも入っておけば2つの効果が両立します。

 

この場合、物件選びというよりは団体信用生命保険を付けてくれる金融機関から融資を受けることがポイントになります。すべての金融機関で団体信用生命保険の対応をしているわけではないからです。そして、金額としては通常ひとつの金融機関につき1億円が上限となりますが、いくつかの金融機関においては3億円まで団体信用生命保険を掛けることが可能です。

 

POINT

団信に対応している金融機関を選ぶ・3億円まで団信を掛けることも一考

本連載は、2014年8月30日刊行の書籍『会社の経営安定 個人資産を防衛 オーナー社長のための収益物件活用術』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

本連載は情報の提供及び学習を主な目的としたものであり、著者独自の調査に基づいて執筆されています。実際の投資・経営(管理運営)の成功を保証するものではなく、本連載を参考にしたアパート事業は必ずご自身の責任と判断によって行ってください。本連載の内容に基づいて経営した結果については、著者および幻冬舎グループはいかなる責任も負いかねます。なお、本連載に記載されているデータや法令等は、いずれも執筆当時のものであり、今後、変更されることがあります。

会社の経営安定 個人資産を防衛 オーナー社長のための収益物件活用術

会社の経営安定 個人資産を防衛 オーナー社長のための収益物件活用術

大谷 義武

幻冬舎メディアコンサルティング

アベノミクス以降、景気は回復傾向を示していますが、利益を上げ続けるというのは簡単なことではありません。加えてオーナー社長を悩ませるのが増税です。 本書では、中小企業のオーナー社長に向けて、賃貸用アパート・マンシ…

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