フローの節税は減価償却が「大きく・短い」物件を狙う
前回に引き続き、収益物件活用の目的と照らし合わせて物件選びのポイントを見ていきます。
●節税(フロー)としての活用
フローの節税としての活用においては、減価償却を「大きく」「短く」取ることが唯一のポイントになります。
まず「大きく」という点に関しては、物件そのものというよりは、売り手側との交渉のなかで建物比率(価格)を大きくしてもらえるかということが問題になります。先述したように、自分だけで建物の価格を決められるわけではないからです。
原則的には、第三者(親族間やオーナー社長と社長個人間のような場合ではなく他人同士の取引)の売る側と買う側が合意した金額が、いわゆる市場価格となります(ただし合理的な範囲内での金額)。
次に、「短く」という点では、法定耐用年数を超えた木造や軽量鉄骨造のアパートが最適です。建物のなかでは最短の4年間(軽鉄の場合5年間)で全額償却することができます。また、先述のとおりRC造の物件においては、本体の償却期間は長いものの、設備を分けることで購入当初の3年間は償却を大きく取ることができます。
ですから、建物価格を大きく取れるよう売り主と交渉するとともに、設備を本体と分けてくれるよう交渉する必要があります。この場合の設備の金額は、おおよそ建物金額の10〜20%を目安にし、売買契約書に明記する必要があります。
POINT
建物価格を大きく(減価償却)・木造で築22年以上RC造もしくは鉄骨造の場合は設備と本体を分ける
相続対策なら時価と評価額の差が大きい都心部の物件
●節税(ストック)としての活用
相続財産を減らすという目的なら、時価(市場価格)と評価額のギャップを大きく取れる物件を選ぶ必要があります。
時価とは市場で売買される価格であり、評価額は行政が定める路線価や固定資産税の評価額です。一般的にこのギャップが大きいのは都心部の物件です。不動産の市場価格が高くなっている状況においては、特にギャップが大きくなります。
銀座の土地の売買価格が路線価の3、4倍になったというニュースを目にした方もいると思います。まさにその3倍、4倍こそがギャップであり、そうした不動産を買えば、相続財産の評価を3分の1、4分の1にも圧縮できるということです。
逆に地方都市の物件は時価と評価額の差が取りにくい、もしくは逆転してしまっているケースもあります。
POINT
時価と評価額の差が大きい(都心部の物件等)