(画像はイメージです/PIXTA)

香港在住・国際金融ストラテジストの長谷川建一氏(Wells Global Asset Management Limited, CEO)が「香港・中国市場の今」を解説していきます。

ハンセン指数 18,736.44 pt (+0.75%)
中国本土株指数 6,384.90 pt (+0.16%)
レッドチップ指数 3,594.46 pt (▲1.66%)
売買代金1,985億6百万HK$(前日2,220億9万HK$)

パウエル議長、12月FOMCでの利上げ幅縮小を示唆

30日パウエルFRB議長は、ブルッキングス研究所で講演した。インフレ動向はまだ楽観できないとしつつ、金融政策について、今後は利上げペースを減速する可能性に言及した。FOMCは過去4回連続で0.75%の大幅利上げを実施するなど、急ピッチで金利を上昇させてきたが、その効果を見極める段階に至ったと言える。

 

今月13、14日に予定されている連邦公開市場委員会(FOMC)では0.75%幅の利上げが実施されるとの見方もあったが、0.5%幅の利上げが決定される可能性を高く見ている。

 

金利の引き上げペースの鈍化と受け取り、中短期債利回りを中心に低下し、為替も米ドル安に振れる展開となった。より金利に敏感な、ハイテク株で構成されるナスダック総合指数は2ヵ月ぶりの高値を記録した。

 

ただ、講演内容を精査すると、インフレ抑制については不確実性を考慮したうえで、金利を高い水準で維持すること、当面の間、高い金利水準を維持せざるを得なくなる可能性が高いことにも言及した。これは11月FOMC後の会見でも触れたことであり、新味は薄いが、市場が軽視している点である。要注意と言えるだろう。


ターミナルレート(金利のピーク水準)がどの水準になるのかを言い当てることは難しい。今後のインフレ動向次第である。市場は、ターミナルレートが5%に達しないとの予想に振れ始めたが、それほど楽観できる状態であるとは言えないだろう。

 

直近では今週末に米雇用統計が発表される。また、FOMC開催中の13日に発表される11月の消費者物価指数(CPI)にも注目度が高まった。米国経済の減速を考慮しながら、インフレ率をFRBの目標である2%水準まで低下させるには、クリアしなければならないハードルは高いと考えるべきだろう。

香港市場は3日続伸

1日、中国財新が発表した11月の製造業購買担当者景気指数(PMI)は49.4と、前月の49.2から小幅に上昇した。ただ、4ヵ月連続で景況判断の「50」を割れており、中国経済の足元が軟弱であることが示された。

 

前日には中国国家統計局が調査したPMIも発表されたが、両データとも、厳格な新型コロナウイルス感染抑制に伴う移動制限が経済に悪影響を与え、景況感を悪化させている。

 

 

感染抑制策については、中国衛生当局は、地方当局に対して一段と新型コロナウイルスの防疫規制の緩和を促している。11月に入って、中国政府が方針転換したことは、本レポートでも繰り返し伝えてきたとおりだが、ここにきて、地方政府への浸透を図っている。

 

感染拡大が続いている広東省広州市では、市当局が制限緩和を発表した。それに続いて、すべての地区でロックダウン解除を発表した。また首都北京市でも、市中の閉鎖措置を解除しており、大規模に封鎖緩和を加速させている。


政府のコロナ政策を担当する孫春蘭・副首相は11月30日の会合で「オミクロン株の毒性が弱まりワクチンの接種も進んでいる」と述べ、「我が国の新型コロナ対策は新たな局面に入った」との認識を示した。「ゼロコロナ」政策については言及されなかったが、防疫措置の修正など、政策転換の徹底を急速に進めるのではないか。

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