(※写真はイメージです/PIXTA)

魔法の呪文「そもそも」は論点を因数分解していくことができ、シンプルになります。議論から無駄がなくなり、議論は一気に加速していきます。IT&キャリアコンサルタントの谷藤賢一氏が著書『ペヤングソースやきそばで学ぶ問題解決力』(日本能率協会マネジメントセンター)で解説します。

やきそばステージの上下分割

■カップと生麺以外にもある?

現在時刻 12:01:30

 

井ノ辺さん「ねぇ、そもそもやきそばって、『カップ』と、『生麺』と、あと何かあるわよね?」

 

露地くん「『屋台の鉄板焼き』! これがホンモノのやきそばだよね。」

 

井ノ辺さん「お店でも食べられるわよ。『中華屋』さんとかね。」

 

出来内くん「イライラ……」

 

■共通ステージの分離

 

井ノ辺さんがまた「そもそも」を放ってきました。「そもそも」は魔法の呪文です。ここでも放った直後に劇的なことが起こりました。

 

「『カップ』と『生麺』と……」

 

このセリフに注目してください。何か気づきましたか?

 

「カップやきそばと、生麺やきそばと」という言い方をしていません。もはや「やきそば」は当たり前の前提で「カップ」と「生麺」という言い方をしているのです。

 

この瞬間、ステージには劇的な進化が起こります。それが共通ステージの分離です。言葉ではピンときませんね。じっくりと図で見ていきましょう。

 

出典)谷藤賢一著『ペヤングソースやきそばで学ぶ問題解決力』(日本能率協会マネジメントセンター)より。
出典)谷藤賢一著『ペヤングソースやきそばで学ぶ問題解決力』(日本能率協会マネジメントセンター)より。

 

「カップやきそば」も「生麺やきそば」も、どちらも「やきそば」ですよね。

 

ということは「やきそば」という共通のステージを分離させ、その上に「カップ」と「生麺」を乗せても同じことです。

 

こうして共通のステージを分離させると構造がスッキリしてくるのです。

 

実はこの考え方、数学の因数分解と同じです。

 

さあ、この形になることで、「カップ」「生麺」ときたら、並列関係にある「何か」がある気がしてきます。

 

出典)谷藤賢一著『ペヤングソースやきそばで学ぶ問題解決力』(日本能率協会マネジメントセンター)より。
出典)谷藤賢一著『ペヤングソースやきそばで学ぶ問題解決力』(日本能率協会マネジメントセンター)より。

 

出てきましたね。「屋台鉄板焼き」とか「中華料理店」のお店で食べるとか。他にも無理やりひねり出せそうですが、だいたいこんな感じでしょう。

 

人の命にかかわるようなケースの場合は並列関係にあるステージを徹底的にひねり出しますが、お昼に食べるやきそばのようなケースであればこのくらいで十分でしょう。

 

ところで……。

 

こんな単純な議論でも出来内くんはイライラしています。

 

次ページなぜ簡単な議論がかみ合わないのか?

本連載は谷藤賢一氏の著書『ペヤングソースやきそばで学ぶ問題解決力』(日本能率協会マネジメントセンター)より一部を抜粋し、再編集したものです。

ペヤングソースやきそばで学ぶ問題解決力

ペヤングソースやきそばで学ぶ問題解決力

谷藤 賢一

日本能率協会マネジメントセンター

なぜペヤングソースやきそばが問題解決につながるのでしょうか。それは、カップやきそばを選び、作り、食べるまでのプロセスを分析すると、問題解決の手法をとてもわかりやすく説明することができるからです。 本書では、露地…

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