
情報を受け身で取り入れるのではなく、情報にアクティブに関わると、単なる記録ではなく、エピソード記憶を体現した情報ノートに変わるので、より強く記憶に定着できます。記憶力日本選手権大会6回の最多優勝者の池田義博氏が著書『世界記憶力選手権グランドマスターの驚くほど簡単な記憶法』(日本能率協会マネジメントセンター)で解説します。
時間、関連、人でつなげるエピソード記憶
■記憶能力を最大限に活かすためのライティングメソッド
▶(1)TAPメモ
皆さんも、会議やミーティング、打ち合わせなどの場面では、必ずメモを取るのではないでしょうか。記憶力日本一を6度獲得した私でさえ、重要事項は頭の中の記憶だけに留めておこうとは考えずにメモを取ります。
しかし同時に、メモを取ることはある意味、諸刃の剣ともいえるのです。それは、記録を残したことから生じる安心感です。安心感の何がいけないかというと、いつでも確認できるという気持ちから、しばらく書いたメモを放っておいてしまうことです。
メモは時間が経てば経つ程、鮮度が落ちていきます。メモは鮮度が命なのです。
メモを取っている状況というのは、会議にせよミーティングにせよ、議事が同時進行しています。流れの中でメモを取らなければならないので、長々としたテキストを書くわけにはいきません。ポイントだけを端的に書き記すことしかできないはずです。
しかし、その最低限の情報量で書かれたポイントの中には、会議やミーティングのときの空気感や、生まれた感情、または、そのとき閃いたインスピレーション、さらに、連想したアイデアなどが存在しているはずです。それらを同時にすべてメモで表現するのはほぼ不可能なので、必要最低限の情報のみを文字で記入することになるわけです。
しかし本来は、この付随した情報のほうにこそメモの価値があると思いませんか?
理想的なのは、そのメモを見たら、これらの付随した情報が次から次へと思い出せることです。
ところが、記憶とは必ず忘却するものです。しかも、初期の段階で急激に失われていくという性質を持っています。
そんな性格上、だいぶ時間が経ってからメモの文字を読んでも、これがなぜ重要だと思ったのか、ひどい場合には、何のことを書いているかさえ思い出せなくなるというわけです。それを防ぐための工夫がTAPメモです。
何も大掛かりな細工をするわけではありません。
TAPのTはTime のTです。つまり、時間であり、そのメモを取っているときに、日付と時間を必ず記入しましょうということです。
AはAssociation のAです。これは、関連付けるという意味です。そのメモをあとから見直したときに思い出すきっかけになるキーワードを記入しておくのです。キーワードになるのは、そのときの話の対象や、または、そのときの発言者の名前、ほかにも、その瞬間に閃いた自分のアイデアなどです。
そして、Pは2つの意味があります。Place のPとPerson のPです。つまり、場所と人物です。その会議やミーティングが開かれている場所と参加者を書いておくということです。
たったこれだけのことで、思い出せる情報量にかなりの差が出ます。記憶の種類の中に「エピソード記憶」というものがあります。このエピソード記憶は、長く残るという性質があります。そして、エピソード記憶を形作る要素が、先程のTAPというわけです。
何も意識しないままメモを取るのであれば、それは単なる文字の記録でしかないですが、そこにTAPの情報を加えることで、メモの中にエピソード記憶を集約することができるのです。
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