長引くコロナ禍、リモートワークの普及や“飲みニケーション”の減少で社員同士が顔をあわせる機会も減り「組織としてのモチベーション維持・強化」が難しくなっています。そのようななか、「将来どうなりたい?」の問いに答えられないリーダー層の40代管理職が多いと、経営コンサルタントの中田仁之氏はいいます。中田氏がある2社で実施した「モチベーション強化研修」の事例から、自分の可能性を信じられるリーダーになるために大切なことをみていきましょう。
“将来どうなりたいのか?”の回答に出た2社の「差」
「社長になる」「パリに支社をつくる」…柔軟なアイデアが多く出たA社
A社で階層別研修を行った時の話です。20代の若手社員に対しての「モチベーション強化研修」を実施しました。
その中で「将来どうなりたいのか?」という自分のキャリアプランを作ってみるというワークをしました。
20代の若手社員の発想は実にユニークで、「この会社の社長になって大金持ちになる!」や「大好きなパリに支社を作って自分が支社長になる!」といった会社内での夢、「バーを経営したい!」「50代でリタイアして南の島で暮らす」といったライフプランもありとても素敵だなぁと思いました。
研修後、人事部長と社長とお話していて、理由が分かりました。この企業はとにかく新しいこと、まだ世の中にないことを価値として生み出すことを事業とされているので、あらゆる可能性について「新しいかどうか」「おもしろいかどうか」を基準としているそうです。
社長も含めてリーダー層もみんなが同じ基準で仕事をしているので、若手がのびのびとアイデアを出せるムードがありました。
一方「ペンが動かない」B社
一方、別のB社での階層別研修、40代の課長クラスに向けた「モチベーション強化研修」で同じ内容のことを実施しました。
どんな結果だったと思いますか?
まず驚いたのが、ペンが動かないんです。自由に将来のプランを書いてみましょう! と言っているにも関わらず、5分、10分経っても頭を抱えていたり、首をひねったり。そして、約半数の方が何も書けずに終わってしまいました。
自分で自分の可能性を信じていないリーダーがとても多くて、そんなリーダーがどうやって部下を育成するのでしょう?
「でも……」「どうせ自分は……」「だって……」と言っては自分の可能性にフタをしてきたリーダーが、部下の可能性を信じられるとは到底思えません。
きっと、彼らが悪いのではなく、何となくそうしなければならないという社内のムードに長年従った結果、彼らがそのように染まってしまったように私は感じました。
株式会社S.K.Y.代表取締役/中小企業診断士
株式会社A.B.United代表取締役
内閣府「地方創生SDGs官民連携プラットフォーム」会員
2025大阪・関西万博共創パートナー
1969年大阪生まれ。
幼少期より野球一筋、関西大学在学時には体育会準硬式野球部に所属、大学選抜メンバーに選出され海外遠征を経験。「JAPAN」のユニフォームに袖を通し、海外で君が代を歌うという経験を持つ。
卒業後、大日本印刷株式会社に入社、コンサルティング営業として20年間活躍後、2012年2月に株式会社S.K.Y.を設立。
「大好きな人に本気の応援を提供する」という企業理念を掲げ、上場企業から個人事業主まで幅広い顧客層を持つ。主な事業は販売促進に関するプロデュース業及び営業力強化・人材育成等のコンサルティング、さらに経営者やリーダー向けのビジネス講座を東京・大阪で主宰、企業からの講演依頼やリーダー育成プロジェクトの開発などの依頼が殺到している。
2020年5月、アスリートのネクストキャリアを支援する「日本営業大学(現Athletes Business United®︎)」という日本初のアスリートに特化した教育機関を設立、元プロ野球選手やJリーガーほかさまざまな競技に取り組む現役選手や引退した元アスリートから大学生まで、のべ300名のアスリートに対しビジネス教育を提供。就職や起業、地方創生や就農など1人ひとりに合ったネクストキャリアをプロデュースしている。
主な著書に、『困った部下が最高の戦力に化けるすごい共感マネジメント』(2018年株式会社ユサブル)。発売直後に重版となりロングセラーに。台湾、中国でも翻訳・出版された。
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