(※写真はイメージです/PIXTA)

長引くコロナ禍、リモートワークの普及や“飲みニケーション”の減少で社員同士が顔をあわせる機会も減り「組織としてのモチベーション維持・強化」が難しくなっています。そのようななか、「将来どうなりたい?」の問いに答えられないリーダー層の40代管理職が多いと、経営コンサルタントの中田仁之氏はいいます。中田氏がある2社で実施した「モチベーション強化研修」の事例から、自分の可能性を信じられるリーダーになるために大切なことをみていきましょう。

リーダーが忘れている「自分自身の可能性」

B社での研修の目的が「リーダー層を元気にすることで会社を活性化させたい」という社長の思いでしたので、彼らに向かって私はこんな話をしました。

 

「人は、自分以上に自分の可能性を信じてくれる相手を尊敬し、この人のために、という思いが生まれ、それが困難に立ち向かう粘りになるのです。

 

今、皆さんが自分の可能性を信じられなくなってしまっていることは仕方がありません。これまでのこの会社のムードがそうさせたのでしょう。

 

しかし、それは今で終わりにしましょう。皆さんの部下は大きな可能性を胸に秘めています。皆さんは彼らの可能性の芽を摘みますか? それとも大きく育てたいですか?

 

社長は皆さんに元気になってもらいたいから、今日私をここに呼んだのです。皆さんの可能性のフタを壊すために、私はここに来たのです」

 

そして、次にこんな課題を与えました。

 

「もし、何の制約もなかったとしたら、本当は何をしたいですか? どんな50歳になりたいですか? 思いつくまますべて書いてください」

 

すると、一斉にペンが動き始めました。「無農薬の農業をしたい」「労務部門に移って働き方改革がしたい」「本気で社長を目指している」など、実にユニークで正直な声を書いてくれたのです。

 

理由は、社長が自分たちの可能性を信じてくれていることが、私の言葉を通じて腑に落ちたからです。それまで社長に労いの言葉をかけられても、心には響いていませんでした。社長のために自分が頑張るんだとは思っていませんでした。

 

しかし、「会社を成長させるのは、現場を指揮するリーダーだ」「だからリーダーに元気になってほしい」という社長の本心に共感した彼らは、この日を境にチームに生まれ変わりました。

 

B社を例にして説明しましたが、ほとんどの40代の管理職は基本的にB社のような感じになっていると想像します。

 

家庭を守るために安定した収入が必要だから、という事情は理解できますが、それ以上に「もう40代だから無理」と自分で自分の可能性にフタをしている可能性が高いのです。

 

自分の無限の可能性を信じ、コツコツと努力して自分を磨き続けることが、豊かな人生を過ごす秘訣だと私は考えています。

 

 

中田 仁之

株式会社S.K.Y.代表取締役

中小企業診断士
 

※本連載は中田仁之氏の著書『困った部下が最強の戦力に化ける すごい共感マネジメント』(ユサブル)より一部を抜粋し、再構成したものです。

困った部下が最高の戦力に化けるすごい共感マネジメント

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中田 仁之

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