医師の話を鵜呑みにしない患者になろう
患者の立場にいる方も、医師の「信者」になってはいないか、振り返ってみましょう。
医師に言われるがまま薬を飲んでいるけれど、かえって体調が悪い、ということはないでしょうか。ならば、疑う姿勢を持ち、医師に疑問をぶつけてみましょう。
飲む頻度を減らすか、思い切ってやめてみるのも一つの方法です。
とりわけ高齢者は、薬の量を減らすべきだと私は考えています。もし高齢の親御さんが、毎食後に何種類もの薬を飲んでいたら、リスクがあると考えたほうがいいでしょう。
というのも、年齢を重ねると肝臓の機能が落ちて代謝が悪くなり、半減期(薬の血中濃度が半分になるまでの時間)が長くなるからです。腎臓の機能が低下して薬の排出が落ちているという問題もあります。
「とはいえ、やめて命に関わるようなことになったら怖い」と思うかもしれませんが、そこは柔軟に考えましょう。親御さんにしろ、ご自身が飲むにしろ、薬をやめて調子が悪くなったら、また戻せばいいだけの話です。
逆のパターンでも同様のことが言えます。「薬には絶対に頼らない」という方がときどきいますが、そこに固執して不調を我慢し続けるのは、果たして賢いやり方でしょうか。
薬に頼りたくないのは、副作用が心配だからでしょう。しかし、ほとんどの場合、薬の副作用は永続的なものではありません。たとえば睡眠導入剤を飲むと、ときどき副作用で記憶障害が出ることがあります。しかし、服用をやめればすぐに元に戻ります。
やめてみたらどうなるか、飲んでみたらどうなるか。いずれの場合も、自分に合う状態を見つけ出すには、やはり実験が必要なのです。
生活習慣に関しても、何が最適かは人によって違います。自分の理想の睡眠時間を知りたいなら、6時間睡眠、7時間睡眠、8時間睡眠とそれぞれ試して、一番調子がいい日はどの日か確かめるのが一番です。ほかにも、合う食べ物を実験したり、アルコールの適量を実験したり、試せることはいろいろあります。
世にあふれる健康情報に振り回されるよりも、実験をしたほうが、確度の高い体調管理ができるでしょう。