集団か、個人かの選択
次に、民事の債権回収を個人で行うか、集団で行うかということを検討します。
これはケースバイケースです。原則、債券は個人ごとのものなので、加害者から回収した金銭は、他の被害者と分配する必要はありません。個々人別々に訴訟などの法的手続きを行い回収を目指し、いわゆる早いもの勝ちとなります。
集団訴訟は、その原則を事前の契約で、人数割りか出資金額に応じた金額での分配に変更します。
集団訴訟のメリットは、証拠を共有できる点、数十万円・多いときは100万円を超える着手金を一人数万円程度出し合って抑えることができるメリットがあります。
デメリットとしては、回収金を分配する義務があることと、進行が遅くなることがあります。
なので、手持ちの証拠が充実しており、着手金の負担も問題ない場合は、個人での訴訟を選択したほうがいいということになりますが、これについては、個々人の判断になります。
実際の回収可能性
学校の遠足は学校での解散でなく家に帰るまでが遠足というのと同じで、訴訟も勝訴までが訴訟でなく、実際の相手の支払いまでが訴訟です。無事、勝訴判決を得ても、相手に支払い能力がないと意味がありません。
弁護士に依頼する際には、相手の支払い能力の有無の検討も重要です。強制執行も、相手の財産がわからない、口座にお金がないような場合には意味がありません。強制執行が無駄になった場合には、財産開示手続に付随する刑罰や債権者破産の手続きで、相手方に制裁を与える手段もありますが、返金は見込めません。
そのため、案件を進めるか判断する際には、相手の財産調査も重要になります。