後発グルメサイト「Retty」が「ぐるなび」「食べログ」と戦えるワケ

後発グルメサイト「Retty」が「ぐるなび」「食べログ」と戦えるワケ
(※写真はイメージです/PIXTA)

中小・新興企業は資金力や人材力が大手よりも劣る分、他社との「差別化」が競合に勝つカギとなります。今回は、後発グルメサイト「Retty」が「ぐるなび」や「食べログ」と戦える理由となる「差別化」戦略の事例を中心にみていきます。

 

「底辺ファイアウォール」による差別化

底辺ファイアウォールとは、私が考えた独自の言葉です。書籍「ザ・プロフィット」に登場する“低価格帯商品を売ることで、他社がもっと安い値段で市場シェアを奪う可能性を実質的に断ち切るシステム“のことです。

 

たとえば、ユニクロは低価格のジーンズを発売したことで市場認知が高まり、その後の成長につながりました。他社が1万円前後で売っているジーンズを3,000円程度の価格で提供し、他社がもっと安い値段で市場シェアを奪う可能性を実質的に断ち切りました。

 

■集客商品を利用し、本命商品を販売する

基本的に、中小企業が価格勝負を行うのはよくないこととされています。最終的には資金力のある大企業にシェアを取られてしまうからです。

 

しかし、中小企業でも底辺ファイアウォールを活用して、大企業に伍する方法もあります。それは、他社が有料で提供しているレベルの商品やサービスを無料または無料に近い金額で提供し、新規顧客を集める。そして、そのあとに別の有料商品を販売して収益を上げる事業モデルを構築することです。いわゆるフロントエンド商品、バックエンド商品という考え方です。

 

たとえば経営コンサル業界の場合、他社が有料で提供しているレベルのセミナーを無料で行い、見込み顧客を開拓、そのあとに利益が上げられる商品を販売するというようなことができます。

 

「共食い戦略」による差別化

共食い戦略とは、他社製品の機能限定廉価版を発売し、高機能商品は要らないという人達を取り込む戦略です。差別化というよりも、他社と競合しない戦略といえるかも知れません。

 

先ほどの「底辺ファイアウォール」と同様、価格競争は中小企業向けにはおすすめされない方法ですが、共食い戦略では、価格を下げるだけではなく、機能も簡素化し、原価や運営コストのダウンを図ります。つまり、同じレイヤーの商品で大企業と闘うのではなく、それよりも下のレイヤーの商品で戦うということです。

 

■大手が新興企業に勝てない理由

たとえば、フィットネス業界の場合、コナミスポーツクラブやセントラルスポーツが大手ですが、その傍ら、エニタイムフィットネスなどの低価格のフィットネスジムが大きく広がっていきました。エニタイムフィットネスは、従来型のジムのうち、プールやスタジオを無くした機能限定、廉価版です。規模も小さいため、運営コストも安く十分に利益が出るモデルになっています。

 

では、大手も同じようなモデルを展開すればいいのでは? ということになるのですが、大手が廉価版を出してしまうと、既存顧客がそっちに流れてしまい、既存事業に大きなダメージが出てしまう可能性があります。つまり、自社内で既存事業と新規事業が共食いになってしまうことを恐れ、進出できないのです。このように、同業他社に共食いを起こさせるような戦略をとるのが共食い戦略です。

 

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