(写真はイメージです/PIXTA)

辞めさせたい社員に退職勧奨をする場合、伝え方には特に注意しなければなりません。対応を誤れば、違法な「退職強要」であるとして損害賠償請求されるリスクがあるためです。今回は、実際に違法と判断され、会社側が損害賠償を払うこととなった3つの判例をもとに、スムーズな「退職勧奨」の方法と注意すべきポイントについて、Authense法律事務所の西尾公伸弁護士が解説します。

明確に拒否されたら「面談を打ち切る」ことも重要

5.明確に拒否された場合には面談を打ち切る

話し合いのなかで、従業員が明確に退職を拒否した場合には、面談を打ち切りましょう。明確に拒否しているにもかかわらず執拗に説得を続けると、退職強要として違法であると評価されかねないためです。

 

その場では面談を打ち切ったうえで、たとえば1週間後に設定した面談で改めて回答を聞かせてほしいとするなど、後日改めて回答をもらう形とすることもひとつです。

 

ただし、1週間後などに改めて設定した面談で再度退職を拒否された場合には、それ以上の深追いは避けるべきでしょう。従業員が退職勧奨に応じないにもかかわらず退職してほしい場合には、解雇を検討することとなります。

 

もっとも、解雇を検討するにあたっては別の考慮要素が必要になります。そこで、退職勧奨が進まない場合や解雇をしたいと考えた場合には、弁護士へご相談ください。

 

6.面談内容を適宜記録し相手の署名をもらう

退職勧奨の面談では、適宜内容を書面などで記録しておきましょう。面談の様子を相手の承諾を得て録音しておくこともひとつです。

 

なぜなら、書面などの記録がなければ、口頭で退職勧奨に同意をした従業員が、あとから「合意解約には応じていない」などと主張する可能性があるためです。また、「退職を強要された」などと主張されてしまう可能性もゼロではありません。

 

面談の内容を記録したら、従業員に署名をもらっておくとよいでしょう。

 

7.合意ができたら合意書を作成する

退職勧奨について合意ができたら、合意をした内容についてきちんと書面で残しましょう。退職勧奨の合意書には書式の決まりはありませんが、最低限、次の内容を明記してください。

 

・労働契約を解約することの合意をする旨又は退職勧奨に同意をする旨
・退職予定日
・退職勧奨の条件(退職金の額など)

 

そのうえで、従業員に署名と押印をもらいましょう。

 

8.あらかじめ弁護士へ相談する

退職勧奨の言い方や進め方を誤ってしまうと、大きなトラブルへと発展してしまいかねません。そのため、退職勧奨をする際には、あらかじめ労使問題に強い弁護士へ相談するとよいでしょう。

 

弁護士へ相談することで、状況に応じた退職勧奨の進め方や提示する条件などについてアドバイスが受けられるほか、万が一トラブルに発展した際の対応がスムーズとなります。

 

 

西尾 公伸

Authense法律事務所

弁護士
 

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本記事はAuthense企業法務のブログ・コラムを転載したものです。

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