社長「クビにしたいが、訴えられたくない」…社員に納得して辞めてもらう方法【弁護士が解説】 (写真はイメージです/PIXTA)

経営上の都合で人員整理をしたい場合や、遅刻やトラブルが多い社員を辞めさせたい場合など、ときに企業側が従業員に対し退職を促したい場合があるでしょう。しかしその際、いくつかのポイントに注意しないと「退職強要」にあたり、損害賠償請求をされてしまう可能性があると、Authense法律事務所の西尾公伸弁護士はいいます。社員に「納得して辞めてもらう」ためにはどうすれば良いのでしょうか、みていきます。

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退職勧奨ってなに?

退職勧奨とは、会社が退職してほしいと考えている従業員に対して、退職をしてもらうよう会社側が働きかけを行うことです。従業員の意に反して一方的に退職させる解雇とは異なり、従業員との合意による雇用契約の終了を目指します。

 

しかし、単に人員整理をしたいなど会社側の事情のみで退職を促しても、従業員からすればこれに応じるメリットがありません。

 

そのため、退職勧奨に応じれば退職金を上乗せするなど、従業員側にとってメリットとなる条件を提示することが一般的です。

 

退職勧奨での退職は原則「会社都合」

従業員の退職理由には、大きく分けて「会社都合」と「自己都合」が存在します。

 

いずれに該当するのかで失業保険の受給開始までの期間など、退職後の処遇などについてさまざまな違いが生じるため、会社都合退職か自己都合退職かというのは重要な問題であるといえるでしょう。

 

結論をお伝えすれば、退職勧奨による退職は、原則として会社都合退職に該当します
※ 厚生労働省:労働契約の終了に関するルール

 

自己都合退職とは、たとえば従業員が婚姻をして遠方へ引っ越す場合や、従業員が他社への転職を決めて退職する場合など、従業員側の都合による退職です。

 

退職勧奨は、会社側の事情で退職を促すものである以上、たとえ会社が提示した条件に従業員が応じて退職の合意をしたとしても、自己都合退職扱いとはなりません。

 

会社都合退職となるのは解雇をした場合のみであるとの誤解も散見されますが、これは誤った認識ですので、正しく理解しておきましょう。

「会社都合退職」と「自己都合退職」の違い4つ

退職が「会社都合退職」である場合と「自己都合退職」である場合とで、どのような違いが生じるのでしょうか?

 

両者の主な違いは、次のとおりです。

 

1.失業保険給付の「待機期間」や日数

失業保険給付とは、雇用保険の被保険者である人が失業をした場合、失業期間中に雇用保険から受けられる給付のことです
※ ハローワークインターネットサービス:雇用保険手続きのご案内

 

「自己都合退職」か「会社都合退職」かによって、失業保険給付の待機期間や受給日数などが異なります。

 

待機期間とは、受給資格が決定してから実際に失業保険給付が受けられるようになるまでの期間のことです。会社都合退職の場合の待機期間は7日間である一方で、自己都合退職の場合の待機期間は、原則として2ヵ月間とされています
※ ハローワークインターネットサービス:よくあるご質問(雇用保険について)

 

また、失業保険給付が受けられる日数も、会社都合退職の方が自己都合退職よりも長く設定されています。

 

2.退職金の額や計算方法

会社によっては、自己都合退職の場合と会社都合退職の場合とで退職金の額や計算方法に差をつけている場合があります。

 

これは、その会社が退職金規定をどのように定めているかによって異なりますので、あらかじめ規定を確認しておくとよいでしょう。

 

3.従業員の再就職

従業員が再就職をするにあたって、前の職場の退職理由を問われる場合があります。退職理由が自己都合であるのか会社都合であるのかによって、採用の可否に差が生じる可能性があるかもしれません。

 

4.企業が国などから受け取る助成金への影響

助成金とは、企業が要件を満たして申請をすることで、国などから返済不要の資金を受け取ることができる制度です。助成金にはさまざまなものが存在しますが、人材雇用や人材育成など、人に関するものが数多く存在します。

 

助成金を受けるための要件はその助成金によって異なりますが、一定の期間内に会社都合の退職者が出ていないことを助成の要件としているものが少なくありません。
そのため、企業が退職勧奨をする際には、助成金への影響にも注意が必要です。

 

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Authense法律事務所 弁護士

第二東京弁護士会所属。中央大学法学部法律学科卒業、大阪市立大学法科大学院修了。
ベンチャーファイナンスを中心とした企業法務に注力し、当時まだ一般的な手法ではなかった種類株式による大型資金調達に関与。新たなプラットフォーム型ビジネスの立ち上げ段階からの参画や、資金決済法関連のスキーム構築の実績も有する。ベンチャー企業の成長に必要なフローを網羅し、サービスローンチから資金調達、上場までの流れをトータルにサポートする。
顧問弁護士として企業を守るのみならず、IT/ICTといったベンチャービジネスの分野における新たな価値の創造を目指すパートナーとして、そして事業の成長を共に推進するプレイヤーとして、現場目線の戦略的な法務サービスを提供している。

Authense法律事務所(https://www.authense.jp/)
Authense企業法務(https://www.authense.jp/komon/)

著者紹介

連載Authense法律事務所の西尾公伸弁護士が解説!サステナビリティ経営に欠かせない企業法務のポイント

本記事はAuthense企業法務のブログ・コラムを転載したものです。

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