「利上げ継続か、いったん停止か」は株価次第
2023年前半の注目点は、FRBが、①利上げをいったん停止して様子見に転じるか、②利上げを継続するか、の選択です。
今年これまでのFRBとマーケットとの「キャッチボール」を見ている限り、FRBにとって、①利上げのいったん停止か、②利上げ継続かの選択にあたって重要なのは、株価だろうと思われます。
マーケットが「やはり景気後退は来ない!」とばかり株価が戻り調子であれば、②利上げは継続されるように思えます。
反対に、「やはり景気後退に行ってしまうんだ……」とばかり株価が低迷していれば、FRBは「インフレのリスクは後退している」とみて、①様子見に転じるように思えます。
最近のマーケットの動きはかなり厄介です。FRBの理事や連銀総裁が「利上げ幅の縮小」をほのめかすと、長期金利が低下して株価は急速に値を戻します。
FRBの立場で考えれば、株価が戻り調子になると、「景況感が回復してインフレ圧力が残る可能性」を考えなくてはなりません。
いわば、せっかく引き締めを行ってインフレ懸念をいくぶん解消させたのに、その政策努力の一部が無駄になってしまっています。最近のマーケットの反応をみる限り、「利上げ幅の縮小を明言することは、インフレ抑制にとっての悪手」に見えます。
FRBが真にインフレ抑制を優先しているなら、たとえ利上げをいったん停止するときでも「今後のさらなる大幅利上げを排除しない」ことを伝えるように思えます。
言い換えれば、「長期金利が低下しすぎないような、株価が戻りすぎないような金融政策のスタンスを明確にする」ように思えます。
とはいえ、投資家にとってみれば、FRBが、①インフレリスクを取って様子見に転じ、株価にやさしい政策を取るのか、②景気後退リスクを取って利上げを継続し、インフレを抑えにいくのかがわからないので、いまは「株か、国債か」「グロースか、バリューか」を決め打ちせず、分散投資の継続が必要と考えられます。