(※写真はイメージです/PIXTA)

自宅をリフォームする際、老後のことを考えてバリアフリーの設備を整えたいと考えている人も多いのではないでしょうか。早めにリフォームをする場合であれば実費で行ったほうがお得な場合もありますが、要介護認定の家族がいる場合、給付金が受けられる場合があります。マンショントレンド評論家として数々のメディアで発信を行う日下部理絵氏が、リフォーム時に活用したい給付金や控除の制度について解説します。

リフォームを機に始める人が多い「バリアフリー」整備

【事例:買い替えよりもフルリノベーションを選択した糸井さんのケース】

・家族構成……糸井正さん(夫)64歳、妻62歳、子供1人(長女34歳)、孫1人(2歳)同居
・資金概要……住宅ローン返済中、わずかに残債あり

・物件概要……3LDK 74.08m2/14階建て14階/築33年62戸/最寄り駅 徒歩5分
・リフォーム後の間取り……3LDK+WIC
・かかった費用……約680万円(現金払い)

 

高齢者等対応設備とは、高齢者などが毎日の生活を支障なく行うことを目的として住宅に設置された設備をいう。

 

具体的には、

 

①手すり(トイレ、浴室、廊下など2ヵ所以上の設置)
②段差のない室内
③廊下などが車椅子で通行可能な幅(おおむね80cm以上)
④浴室・トイレの暖房設備

 

「令和2年度住宅市場動向調査」においても高齢者等対応設備が整備されている割合をリフォーム前後で比較すると、リフォーム後の整備率が高くなっており、リフォーム後は「手すり」22.5%、「段差のない室内」11.7%、「廊下などが車椅子で通行可能な幅」7.0%、「浴室・トイレの暖房」16.7%、「すべて満たす世帯」は2.7%となっている。

 

糸井さん宅ではリフォームした際に浴室とトイレに手すりも付けたため、すべてを満たしている。

 

糸井さん夫婦は元気なうちにと実費で行ったが、手すりの取り付けや段差解消、引き戸への扉取り替えなどのバリアフリー化の費用は、要支援や要介護認定されると給付される制度(支給限度基準額20万円の9割が上限)がある。

 

バリアフリーにするリフォームを検討する際は、該当する給付金や助成金を調べるのをおすすめしたい。なお給付を受ける際は申請するのをお忘れなく。

 

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次ページリフォーム時活用したい「控除」

※本連載は日下部理絵氏の著書『60歳からのマンション学』(講談社+α新書)から一部を抜粋し、再編集したものです。

60歳からのマンション学

60歳からのマンション学

日下部 理絵

講談社

私たちは、本当にマンションを終の棲家にできるのか? 2030年、分譲マンション約780万戸のうち、築30年以上が過半数を超える。現在、安全・安心・快適なマンションへの永住指向が強まる一方、自らの老いとマンション老朽化…

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