慢性疲労、ストレス…企業が続々導入、「マッサージやマインドフルネス」。「離職率低下に効果」など実例紹介

慢性疲労、ストレス…企業が続々導入、「マッサージやマインドフルネス」。「離職率低下に効果」など実例紹介
出張マッサージを依頼する企業は増えている。

企業が従業員の健康を気遣い、デジタルデバイスを利用して体調を管理させたり、手厚い福利厚生を設けたりする事例が相次いでいる。少子・高齢化を背景とした人手不足が深刻となっていることや新型コロナウイルスの感染拡大などが背景にある。国連が2015年に採択したSDGs(持続可能な開発目標)では、「すべての人に健康と福祉を(目標3)」、「働きがいも経済成長も(目標8)」を掲げている。企業は自社のブランディングの一環としても従業員の健康サポートを充実し、目標を達成しようとしている。この連載では、全国で法人向けの出張マッサージサービスを手掛ける株式会社イーヤス(名古屋市)の遠藤基平社長が、その経験をもとに「健康SDGs」を実践する企業を紹介し、その意義を具体的に解説する。

 

マッサージサービス導入後、「業務上のミスが減少」との声も

日本理学療法士協会によると、働く人の生産性を低下させる3大要因の第1位が「首・肩こり」、第2位が「睡眠不足」、第3位が「腰痛」なのだそうです。肩こり・腰痛での一人当たりの経済損失は1週間につき4.6時間相当と換算され、企業としても見過ごせなくなっています。こうした状況を改善しようと、マッサージサービスを導入し、従業員の疲労軽減、心身の不調解消を目指す企業も増えています。

 

通信販売業のS社は、2020年から福利厚生の一環として週2回、1日4時間の出張マッサージサービスを導入しました。2日のうち1日は本社、もう1日は物流倉庫で実施しています。

 

同社は、多忙な倉庫作業員の腰痛をはじめとした慢性的な身体の痛みや疲労を訴える声が多く挙がっていたことから導入を決めたそうです。

 

在籍者のほぼ100%が一人30分の施術を月1回は受けているそうで、国家資格を保有した施術師が痛みの軽減解消を目的とした施術を実施しています。

 

導入後、「業務上のミスが減少した」という報告や「スポーツジムに通ったり、格闘技を始めたりした」という声も寄せられています。マッサージサービスの導入が、従業員の健康習慣の行動変容に一役買っているといえるでしょう。

 

マッサージをメンタルヘルスの悪化予防に向けて導入する企業もあります。

 

ゲーム制作会社のA社は、2010年から本社と支社でマッサージサービスを取り入れました。

 

パソコンでの長時間作業が多いため、もともと目や首肩、腰の疲労を訴える社員が多かったそうですが、社員が増えるにつれて、メンタルヘルスの不調で休職や退職をする社員が目立つようになり、マッサージを取り入れることにしました。

 

A社では導入3年後から、マッサージ業者から社員の健康状態についてフィードバックを四半期毎に受けることにし、リスクの早期発見に努めています。フィードバックの結果、メンタルヘルスの状態に懸念がある社員がいた場合、上長や担当部署がフォローする体制をとっています。

 

こうした取り組みもあってか、その後は従業員のストレスチェックの結果が改善し、休職者や離職者割合も徐々に低下していったそうです。

 

社員の不調を早い段階で察知でき、ストレスを軽減できる環境が整っているのは、労務管理面でのリスク軽減にも役立ちそうです。

 

マッサージで心身の疲労軽減

持続可能な健康施策が「離職率低下」に効果

運動イベントの実施や、睡眠・栄養に関しての研修やセミナーを実施しても一過性の効果で終わることが多く、持続的な「健康意識の向上」には必ずしも繋がりません。

 

成果の出る健康施策にするためには、自発的かつ習慣化して従業員が行動する持続可能な仕組み作りが重要です。

 

私は、会社は「働く」だけの場所ではなく、従業員が「健康になるため」に出社するという新たなコンセプトがあることが望ましいと考えています。

 

短時間で利用のハードルも低く、その場で効果を実感しやすい会社内でのマッサージや、定期的なマインドフルネスイベントは、「持続可能」な健康施策として有力な選択肢です。こうした従業員の心身を守る対策が、離職率の低下や採用力の強化を通じて企業にとっても大きなメリットになると考えられます。

 

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