社員の健康維持に役立つ最も手軽な方法は、「食」の健全化です。人間にとって食は最も身近で、毎日の体調や健康に直接かかわるからです。
「仕事が忙しい」といった理由で食事をとらなかったり、栄養バランスが悪くなったりすると体調が悪くなることもあります。そうした状況が続けば、生活習慣病になってしまったり、休職や退職につながったりするリスクが高まります。逆にいえば、社員の心身の健康が増進し、休職・退職率が低下すれば企業の生産性も高まりやすくなります。
このところの物価高もあり、2023年の春季労使交渉(春闘)の賃上げ率は約30年ぶりの高さになりました。しかし、生産性が向上して企業が成長しなければ持続的な賃上げは望めません。今回は健康経営優良法人にも認定された全研本社の鷲谷将樹取締役にどのように社員の「食」をサポートしているのかをインタビューしました。
経産省が選定する「健康経営優良法人」に選ばれた企業が推進する「食」のサポートとは
遠藤 御社は今年3月に、経済産業省と日本健康会議が選定する「健康経営優良法人2023(大規模法人部門)」に認定されました。具体的にどんな「食」のサポートをされているのでしょうか。
鷲谷 当社は総務・人事の担当者20人が中心となって「健康経営推進隊」をつくり、健康経営についての施策を進めています。2021年12月から活動を始めました。例えば、健康的な弁当の社内販売です。生活習慣病予防などの目安に基づく認証制度「スマートミール」の基準を満たした弁当も販売しています。
オフィスには低糖質で高たんぱく、あるいは全粒粉のお菓子を置き、1個100円程度で購入できるようにしています。また、週3回、ヤクルトの社内販売も実施しています。
食品メーカーと協力して「ベジチェック」、野菜摂取量が改善
遠藤 継続的な食事面のサポートは社員の健康維持・増進に有益のように思います。 その他に実施されていることなどはありますか。
鷲谷 昨年、大手食品メーカーと協力し、「ベジチェック」というイベントを実施しました。ベジチェックは、手のひらをセンサーにあてると、約30秒で推定野菜摂取量を測定できる機器のことです。野菜(特に緑黄色野菜)を食べると、野菜に含まれるカロテノイド(色素)が体に吸収され、やがて皮膚に蓄積します。そのため、皮膚のカロテノイド量を測定すれば、野菜摂取量を推定することができるそうです。
イベントでベジチェックをしたところ、多くの社員が日頃の野菜不足を認識してくれました。「ランチなどで野菜の入ったメニューを選ぶようにした」「野菜ジュースを飲み始めた」といった声もあり、その次のベジチェックでは軒並み摂取量が増えました。
遠藤 会社員は外食が多いだけに、意識しなければ野菜不足になる傾向があるように思います。「食」関連でほかに実施している施策はありますか。
鷲谷 当社では大手飲料メーカーと協力して「腸活イベント」も実施しました。腸活がストレス緩和や睡眠の質向上などさまざまな効果があることを教えてくれる動画を見て勉強したり、乳酸菌飲料を配ってもらったりしました。こうしたイベントを当社の名古屋、大阪、沖縄など全国の拠点で実施し、啓発活動を実施しました。
乳酸菌飲料を社内でも手軽に購入できるようにし、「体調が良くなった」「お通じが良くなった」などといった声が聞かれました。このほか、「低糖質」「全粒粉」「低カロリー」のお菓子もオフィスに備え、いつでも低価格で購入できるようにしています。
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