慢性疲労、ストレス…企業が続々導入、「マッサージやマインドフルネス」。「離職率低下に効果」など実例紹介

慢性疲労、ストレス…企業が続々導入、「マッサージやマインドフルネス」。「離職率低下に効果」など実例紹介
出張マッサージを依頼する企業は増えている。

企業が従業員の健康を気遣い、デジタルデバイスを利用して体調を管理させたり、手厚い福利厚生を設けたりする事例が相次いでいる。少子・高齢化を背景とした人手不足が深刻となっていることや新型コロナウイルスの感染拡大などが背景にある。国連が2015年に採択したSDGs(持続可能な開発目標)では、「すべての人に健康と福祉を(目標3)」、「働きがいも経済成長も(目標8)」を掲げている。企業は自社のブランディングの一環としても従業員の健康サポートを充実し、目標を達成しようとしている。この連載では、全国で法人向けの出張マッサージサービスを手掛ける株式会社イーヤス(名古屋市)の遠藤基平社長が、その経験をもとに「健康SDGs」を実践する企業を紹介し、その意義を具体的に解説する。

 

働く人の6割が慢性的な疲労やストレス抱える

当社は240を超える日本全国の企業と提携し、整体マッサージのサービスを提供しています。ストレス社会ともいわれる現代では、働く人の6割が慢性的な疲労やストレスを感じているとも言われています。特にパソコンに向かうことの多いIT企業などでは、心身の疲労が高まりやすい傾向にあります。

 

こうした企業では離職者の抑制や優秀な人材の確保に向けて、マッサージのほか、瞑想などを通じて心の健康を増進する「マインドフルネス」などを導入する企業が増えています。

 

第三回目の今回は、事業継続の根幹を担っている従業員の心と体のサポートに取り組んでいる企業を紹介します。

コロナ禍の不安やモヤモヤをマインドフルネスで解消

最近、日本企業から注目を集めているのが「マインドフルネス」です。マインドフルネスは、瞑想や座禅、呼吸法の改善などを通じて、脳や心を整える方法のことです。仏教の瞑想がベースになっており、米国のIT企業が先行して取り入れました。

 

例えば百貨店のM社は、2020年から不定期に、オンラインでのマインドフルネスイベントを実施しています。新型コロナウイルスの感染拡大を背景に百貨店への客足が鈍り、営業時間の短縮など働き方も変化しました。こうした状況を受けて、従業員の不安が募っていたことからイベントを開催するようになりました。

 

イベントには毎回30~40名程度の参加があるそうです。参加者の間では「心を落ち着かせて自分に向き合うことでリラックスでき、考え方やものの見方などを振り返るよいきっかけになる」と好評です。「不安やモヤモヤが解消した」「仕事のモチベーションがあがった」などの声も多数寄せられているそうです。

 

世界的なインフレーションや地政学リスクの高まりなど先行きに不透明感が広がる中、同社では、心身を整えるスキルとして今後もマインドフルネスイベントを実施していく計画です。

 

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